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ステラおばさんじゃねーよっ‼️69.カゾクノカタチ〜ママの子?
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️69.カゾクノカタチ〜おかえりなさい は、こちら。
🍪 超・救急車
「はあ、すっきりしたー」
知波は風呂上がりの髪を乾かしながら、定位置のリビングソファに座った。
「ところで、警察はなんて?」
カイワレは知波が解放された理由を訊ねた。
「あなたの手紙に書いた通りの事を伝えたら、おそらく不起訴処分になるだろう、って」
「ふぅ、良かった〜!きっと、聖伯母さんも天国で笑ってくれてるね!!」
カイワレは安堵の笑みを浮かべた。
一方、悲痛な表情が貼りついたままの知波は、カイワレに問いかけた。
「あのぉ…太士朗、さん…今更わたし、あなたの母親になっていいの?」
カイワレはまっすぐに知波を見つめ、告げた。
「もちろんです。家族が生きているのなら家族になろうと思い、わたしは親友らと【母さがし】を始めたんですから」
「そう…。歩には、いつ話そう」
すると階段の一番上の段に座って様子を見ていた歩が、ゆっくり階段を下りてきた。
「あたしに話す事って何?それにたい兄は、ママの子?…って事は、あたしのお兄ちゃんなの?!」
歩は興奮し、ふたりに言葉を投げつけた。
まさかの登場にふたりは目を見開いたが、カイワレは冷静にその場をとりなした。
「とりあえず座って話そう、歩ちゃん」
知波は歩を直視できず、うなだれていた。
⭐︎
「では知波さん、話をしてもらえますか?」
カイワレが知波へ、今までの経緯を話すように促した。
知波は、ゆっくりと歩を見ながら話しだした。
知波には双子の姉、聖がいた事、
初婚の時、太士朗を産んだ事、
太士朗の父親が自殺した事、
それにより、太士朗を姉の児童養護施設に預けていた事、
歩の父親と再婚した事、
そして歩が産まれた事、
つい最近偶然にSNSで太士朗と会った事、
聖が急逝した事、
聖からわたしが生きている事を伝えられた太士朗が、【母さがし】を始めると聞いた事、
そして、今に至る事をかいつまんで話した。
歩は黙ったまま、知波の話を聞いていた。
時折カイワレが補足し、知波の話に口をはさんだ。
ただふたりが共通して歩に話さなかったのは、太士朗の父親を、【死体遺棄】した事実についてだった。
それは歩には無関係な事件であり、これからの歩と家族を守るために、その事実は封印した。
とはいえ、次から次へと予想をはるかに超える母からの告白に、娘は複雑な表情を浮かべるしかなかった。
「つまりわたしとたい兄は、父違いの兄妹(きょうだい)で、ママから産まれたって事で間違いない?」
裁判官のごとくまっすぐなまなざしを向けてくる歩に観念した知波は、
「はい、間違いありません」
とうつむき、認否を明らかにした。