ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊾葬儀〜告別式前夜
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🍪 超・救急車
クリスマス間近というのに、施設の元関係者や沢山の卒園生が聖の死を悼み、涙した。
御通夜の弔問客がやっと途絶えたのは、22時を少し過ぎた頃だった。
明日は、告別式だ。
昨日の今日で疲れもピークにあるが、明日のために少しでも体力温存しようと、3人は交代で仮眠を取る事にした。
まずひかりから斎場の控室で仮眠を取る事になり、次はポーちゃん、最後にカイワレという順番になった。
そしてひかりが控室へ向かうと、ひとつ灯(あかり)が消えたような淋しい空気になった。
なのでわざとカイワレは、ポーちゃんに違う話を振ってみた。
「ひかりさんとこのホテルって、プリンセスホテルだったんだね…五つ星ホテルってだけでもすごいのに、スイートルームを取ってくれてて。そんな部屋には、一生縁がないと思ってたよ」
「でもさ、ひかりのそんなとこにはもう、前より驚かなくなったでしょ」
ふたりは久しぶりに笑い合った。
「あらためまして、たいちゃん。ご愁傷様です」
ポーちゃんは神妙な面持ちで、カイワレに頭を下げた。
「お心遣いありがとうございます」
カイワレは節目がちに、返礼した。
それからふたりで柩(ひつぎ)の中をのぞき込むと、そこには苦しみから解き放たれた、安らかな聖の姿があった。
「聖先生、眠ってるだけなんでしょ〜?」
ポーちゃんはクスクス笑いながら、聖に話しかけた。
「いまだに信じられないよ。今にも起きて来てさ、笑いながらしゃべり出しそうだもん」
そう言うとカイワレはまた、胸に込み上げるものがあり泣きそうになる。
「ぐふぅ…たいちゃん、ごめん」
けれどハンカチを目に当てたのは、ポーちゃんの方が先だった。
ポーちゃんにとっても、特別な存在だった聖。
大好きだった、先生。
血縁どうこうの問題じゃない。
いや、カイワレだけに血縁があるとわかって、ポーちゃんにその絆がないのも悲しかったはず。
だから、肩を抱き寄せるしかできない。
「こちらこそ、色々ごめん」
カイワレは、そう言うのが精一杯だった。