ステラおばさんじゃねーよっ‼️68.任意同行〜合格発表の日
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️67.兄妹意識 は、こちら。
🍪 超・救急車
歩第一志望の、看護専門学校 合格発表の日。ーーー
学校ホームページにて、自身の受験番号を入力、検索をし、合否が判るシステムだ。
その発表時間は、午前10時。
タブレットを机上に置いた歩は、固唾を呑みつつも淡々と、アクセス準備を始めた。
階下では、歩の大好物のちらし寿司とすまし汁、菜の花の胡麻あえを用意し、知波も待機している。
カイワレも歩から、小鳥遊宅へお誘いを受けた。
昨日の今日の訪問に少しためらったが、お祝い事なので歩希望のアップルパイと合格祝いのプレゼントをたずさえ、八雄南駅へ向かった。
⭐︎
10時ちょうどに、歩は合格発表のサイトにアクセスした。
1…0…8…8…
受験番号を入力すると、桜が咲く動画とともに、《合格、おめでとうございます!》の文字があらわれた。
「ママー、合格だって!!やったあーー!」
歩は階段を駆け下りながら、知波に叫んだ。
「わあー良かった!やったね、歩ーー!!」
ふたりは飛び跳ね、互いの両手をたたき合い、喜びを爆発させた。
ピンポーン…
自宅のチャイムが鳴った。
「カイワレさんかな?!」
歩は、嬉々とし玄関の扉を開けながら、
「はーい♪」
と浮かれモードで出迎える。
開けた扉の前には、スーツ姿の見知らぬ男性が2名、立っていた。
「どちら様ですか?」
ふたりからただならぬ雰囲気を察知し、歩は怪訝そうに応じる。
「警察です。小鳥遊 知波さんはいますか?」
一方の刑事が警察手帳を見せながら、歩に尋ねた。
「…はい、いますが。少々、お待ちください」
歩は急に怖くなり、ダイニングテーブルに座る知波へ向かって駆け込んだ。
「ママ、警察だって…」
知波は平静を装い、
「そう、大丈夫よ。心配いらないわ」
椅子に歩をやさしく座らせ、着けていたエプロンを取ると、知波は玄関に向かい歩き出した。
事件を起こしたあの日からずっと、知波は警察と対峙する日をシミュレーションし、生きてきた。
だから今更、怖くなんかない!
自己暗示をかけ強気を保ちながら、玄関までの短い廊下を踏みしめた。
玄関の扉を開けると、中年の刑事が知波に告げた。
「小鳥遊 知波さん、ですね。20数年前の死体遺棄事件についての任意同行を願います」
「はい、わかりました」
毅然とした態度で知波は応え、ふたりの刑事に連行された。