ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊴相関図〜入院の理由
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🍪 超・救急車
「ついこの間、聖先生に会った時は元気そうだったのに重い病気って何?!」
【重い病気】とボードに書きながら、ポーちゃんは悔しさをあらわにした。
「とにかく、明日の朝イチで聖先生に会いに行こうよ!」
「わかった、車の手配よね」
ひかりはいち早く反応し、スマホから運転手へ明日の配車指示を出した。
また今夜のディナーを早める事、翌朝車中で食べられるモーニングセットを3人分用意する事を、給仕にテキパキと伝えた。
急な展開についていけず、カイワレの気持だけ置いてけぼりになった。
ポーちゃんは無言のカイワレを見て、
「たいちゃん、僕もブラックの情報にまあまあ動揺してるけど、たいちゃんは大丈夫?」
と気遣った。
「うん多分」
「ピンチはチャンス!ってね。良い方へ向かってるような気がする!いや、気がしなくもない!!」
いつもの謎理論で励まそうとするポーちゃんに、カイワレはふと不安を口にする。
「先生、死ぬような病気なのかな」
「仕事辞めるぐらいだから…いや、早く元気になって第二の人生に進むつもりなんだよ、聖先生だもん!」
ネガティブな言葉をグッとこらえたポーちゃんに、カイワレはこう返すしかなかった。
「そうだね」
⭐︎
3人はひかりのリムジンで、聖の入院する「八雄市総合病院」へ向かった。
八雄市まで4時間以上の道のりだが、お抱えの運転手がいるおかげで、3人は車中でゆったりと朝食を取ることができた。
シェフが持たせてくれたサンドイッチは、SNS映えするような美しい断面で、ポーちゃんは片手に持って自撮りしながら食べている。
コーヒーまでもが備え付けのコーヒーメーカーで淹れたもので、香ばしさが車中一杯に漂う。
それから、カットフルーツをひかりにあーんと口に入れてもらうポーちゃんを見て、なぜかカイワレが恥ずかしくなったり。
そんな風に、しばらくは遠足みたいな雰囲気だった。
しかし八雄市に入る頃には、ポーちゃんは鼻歌まじりで見慣れた窓の外を眺めるだけになった。
聖を想っているのだろう。
ひかりはスマホで読書と決め込み、大好きな詩集の世界に没頭して時間をやりすごそうとしている。
静かになった車中では、カイワレの気を紛らせるものはない。
聖先生と俺、親戚なのかな。
そして俺の母親は、聖先生の妹なのかな。
血のつながりがある人が現れるのは嬉しいけど、知り合いじゃない方が良かった。
もし聖とカイワレの関係が真実だとしたら、湧き上がる別の疑問を振り払えず、気が滅入る。
だったら真実なんて、知らない方がマシ…。
全部夢だったらいいのに!
そう念じながら座席にもたれたカイワレは目を閉じていた。
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