ステラおばさんじゃねーよっ‼️95.祝宴の顛末〜誕パ開会
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🍪 超・救急車
ピンポーン!
モニターに映るのは、ポーちゃんとひかりだ。
ホールケーキが入った白箱を画面に映し、ポーちゃんは既にはしゃいでいる。
エントランスドアを解錠すると、ふたりはそのままエレベーターでカイワレ宅へ直行した。
歩が出迎え玄関で事情を話すと、ポーちゃんは忍び足で部屋に入っていった。
ひかりは相変わらず穏やかなほほえみをたずさえ優雅に廊下を歩いた。
⭐︎
「たい兄、起きてる?」
歩が声かけするとバツが悪そうに、
「うん、起きてるよ」
とボソボソ応えた。
「じゃあ、アイマスクしておいて」
扉越しに歩が指示し、ゆっくり細く扉を開けた。
言われるがままアイマスクをし、ヌボーと突っ立っている兄を見、間抜けだな〜と思うと仕込んだ張本人ですら吹き出してしまう。
「え?!何、何?」
歩のリアクションに、カイワレはうろたえる。
笑いをこらえ手を引く妹は、兄をゆっくりと椅子へ座らせた。
「じゃあ、マスクを外してみて」
歩は、最後の指示を出す。
アイマスクを外したカイワレは、一瞬真っ白な光の世界に目が眩んだ。
「たいちゃん、お誕生日おめでとう!!」
たくさんの声が一斉に、カイワレへと注がれた。
パーティクラッカーの音と紙吹雪が時間差で、眼前にゆっくりと落ちてくる。
眩んだ世界が輪郭をなし、皆の笑顔や壁面に飾りつけられた誕生祝いのバルーンが視界に飛び込み、ようやく今ある世界を認知するカイワレ。
「うわぁ、みんな!ありがとう!!」
満面の笑みになるカイワレを大きな拍手が包んだ。
「さて、カイちゃん誕パ開会の言葉をポーちゃん、お願いします!」
若森がポーちゃんに振ると、
「…えー、本日はお日柄も良く〜」
とお決まりの内輪ネタでふざけた。
また同じネタかよと思い皆苦笑いを浮かべると、ポーちゃんは強引に、
「カンパ〜イ!」
と叫んだ。
久々に集った《家族》にカイワレは感極まり、しょっぱなから泣きそうになる。
それを見かねた若森が、
「カイちゃん、泣くのはまだ早いってよ!」
と言いカイワレの涙を引っ込ませた。
「泣いてなんかねーし!」
強がるカイワレに萌は「はい」と知波からもらった人魚のハンドタオルを差し出した。
ふたりのやり取りが自然過ぎて、皆一同、こう思わずにいられなかった。
このふたり、デキてる?!
と。
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