ステラおばさんじゃねーよっ‼️56.新年のご挨拶〜イヤよイヤよも
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️56.新年のご挨拶〜正月料理 は、こちら。
🍪 超・救急車
一方、小鳥遊家の大晦日は、火が消えたような1日だった。
夕方頃に熱を測ると、体温計は38度2分。
解熱剤がほとんど効いていない。
「歩、お正月の用意できなくて本当にごめんね」
「謝らないで、ママ。わたしの事より、今はしっかり栄養とって早く元気になってね」
知波はクリスマスあたりから体調を崩し、仕事をずっと休んでいる。
この数日、歩も懸命な看病をするが、一向に知波の熱が下がらない。
歩は知波の容態を心配し、看護師の卵らしくあらゆる病気の可能性を考えたりもして、不安な気持だけが日に日に膨らんでいった。
このままママが死んじゃったら、あたし天涯孤独じゃん。
そう思うと寂しさがどっと押し寄せてきて、涙があふれた。
そんな時になぜか、カイワレのやさしい笑顔がふっと目の前に浮かんだ。
一回しか会ってないのに、初っ端(ぱな)からあたしを子供扱いするヤなヤツ…。
そう思っていたはずが、あの日からずっと心のどこかでカイワレを意識している自分も感じていた。
イヤよイヤよも好きのうち。ーーー
そんな気持を認めたくない、思春期真っ盛りの歩。
けれど、誰かにこの寂しさを伝えたくて、この悲しみに寄り添って欲しくて。
友達には言えない、家族の事…。
それを相談できるのは、なぜかカイワレしか思い浮かばなかった。
それで友人とも知人とも呼べないカイワレへ、年末に初めてメッセージを送ったのだ。
カイワレからすぐに返信があったのも、弱った歩にはとてもうれしくて、それだけで子供扱いしたカイワレを許してしまうくらい、歩には心細く寂しい年越しだった。
⭐︎
「新年、明けましておめでとうございます!」
今年で最後になるだろうこのマンションで、カイワレはポーちゃんとひかりと一緒に、新年の朝を迎えた。
ブランチを兼ねての、ささやかなお正月パーティ。
とは言っても、3人では食べ切れないくらいの豪華な食卓になっていた。
「皆の健康と、幸せを祝して〜!カンパーイ!!!」
とポーちゃんが、威勢良く声を上げた。
「カンパーイ!あけましておめでとう!!」
ふたりも、グラスを高々と掲げた。
カチーンとグラスを合わせたのと同時に、カイワレのスマホが震えた。
カイワレはシャンパンに一口、口を付けてから、スマホを見た。
【ayumu(╹◡╹)さんよりメッセージがあります】
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