ステラおばさんじゃねーよっ‼️㉒母への想い
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🍪 超・救急車
カイワレは母子手帳とノートをテーブルに置き、両手で顔を覆った。
「八雄市に手がかりってさ、母親探すって決めた訳じゃないんだよ」
「何で?会いたいんじゃないの?」
「俺の中では最初から存在していなかったし、会えたとしても迷惑がられるかもしれないし。どうなるかわかんないから、気が重いっていうか」
「あのさぁ!」
煮え切らないカイワレの態度に、ポーちゃんは少しイラつきはじめた。
「僕のお母さんは確実に死んでるんだよ、絶対に会えない、いや僕が死んで天国に行けたら会えるかもしれないけど…いやいやそんな事は今関係ない!」
語調がどんどん強くなっていくので、カイワレは指の隙間からポーちゃんを薄目で見た。
ポーちゃんはうつむき加減で、武者震いしながら話し続けた。
「たいちゃんはお母さんに会えるかもしれないんだよ!探して後悔する事があっても、探さなかったら、たいちゃんが死んで天国に行っても、お母さんが誰だかわからないんだよ!」
そこのセリフは、「探さなかったら、一生後悔するよ!」だろうとカイワレは思っていたから、予想外の謎理論に思わず吹き出しそうになった。
カイワレは両手で顔を隠したままだから、笑いをこらえているのがまるで、泣いているように見えた。
だが顔も目も真っ赤にして怒っているポーちゃんを笑ってはいけない。でもおかしくて、声を殺して、笑けてしまう。
「うん、そうだよね。じゃあアミダクジで決めよかな」
「え?!こんな重要な事、アミダクジなんかで決めていいの?!」
「だって俺このままじゃ、どっちか決められないし。あと、もひとつお願いがある」
「お願いって?」
なかなか貴重なポーちゃんの眉間にシワ寄せ顔である。
「アミダクジをね、ポーちゃんに作って欲しいんだ」
「え?僕が作るの?」
「そしたら結果がどうあれ、お互い納得いくんじゃないかな」
「うーん」
少し声が穏やかになったポーちゃんは、
「わかった、たいちゃんのためだ!もうふた肌脱ごう!」
と謎の日本語で、カイワレをまたひそかに笑わせるのだった。