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ステラおばさんじゃねーよっ‼️79.家族アルバム〜自然体
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️79.家族アルバム〜ガチスゴ豪邸 は、こちら。
🍪 超・救急車
老婆の給仕がスタッフに合図を送ると、彼らは小気味良く客人のグラスに飲物を注ぎにいく。
「では、僕からひとこと…」
突如ポーちゃんが、挨拶を始めた。
「ええー、本日は御日柄も良く〜」
と前回パーティー時に披露された若森のネタをそのままやったので、全員が爆笑した。
ひかりがそれに割って入り、
「ようこそ、新しい我が家へ!乾杯♡」
と乾杯の音頭を取った。
「カンパーイ♪」
と皆グラスを掲げ、それらを合わせた。
チン、と響く音が鉄琴の音色に似て、すがしい風を想起させた。
⭐︎
「引越し祝いです。お受け取りください」
早速カイワレが代表して、ふたりに御祝い品を手渡した。
「わあ、何だろう?嬉しいな!」
中身がすぐに見たくて、ポーちゃん包装紙をビリビリに破いた。
「ウタ、そんなに焦らなくても…」
ひかりは微笑んで、ポーちゃんを見つめる。
歩と知波は早くそれを開けて欲しい気持で、ポーちゃんを見守っている。
そして包装紙から顔を出したのは、ふたりへ贈るアルバムだった。
⭐︎
若森にはミッションがあった。
それは、カイワレから依頼されたものだ。
そのミッションとは、結婚式後の有志主催パーティでの新郎、新婦の自然体を撮影するミッションだった。
それをアルバムにまとめ、ふたりの引越し祝いとして渡すために。
「どうかな、俺の編集センスは?!」
とにやけ顔で、若森はふたりに問いかける。
「この、アンティーク調に施した木彫の外装が、とても素敵ですね♪」
ひかりはまず、アルバムの装丁素材が気に入ったようだ。
「写真もいいですね。流石、プロ!」
とポーちゃんも絶賛した。
「いやあ、それ程でも」
と若森は頭をかき、おどけて見せた。
そしてぽつり、ポーちゃんは呟いた。
「僕、家族のアルバム持ってないから、嬉しいな」
笑顔でそう言うポーちゃんが、切なく見えた。
するとすかさず知波が、
「これから沢山写真撮って、アルバムいっぱい作ろう!ね、ウタ君、太士朗」
とふたりに明るく声をかけた。
ふたりは黙って笑顔でうなずき、知波の顔をじっと見た。
なごやかでやさしい雰囲気が、空間を包んだ。