ステラおばさんじゃねーよっ‼️63. 身元判明
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🍪 超・救急車
ひかりから3人のチャットルームへ、メッセージが届いた。
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@kaichan,@utai
先日の墓碑建立および納骨式、お疲れ様でした!
無事、終えられて良かったです。
顧問弁護士を通じ、わたしから報告です。
先日発掘された人骨調査についてですが、頭蓋骨の下顎骨が綺麗な状態で土中から取り出されたため、警察では歯型から調査を開始したそうです。
結論からお伝えしますと、あの人骨は、大根 悠一朗さんのもので間違いないとの事です。
当時通院していた歯科医院のカルテにより、照合し一致した、と。
そして刺創痕は、胸骨の第三肋間にナイフ痕があり、第三肋間隙を抜け、心臓右心室を一突きした時の衝撃が致命傷となったようです。
よってナイフを引き抜いたかどうかは無関係で、もし大根さんが自死の場合は、即死状態だった、との警察見解です。
骨の経年劣化から鑑み、二十数年は経っている人骨です。
当時大根さんが何らかの事件に巻き込まれていたとし、殺人未遂からの殺人罪または死体遺棄罪については、いずれも時効該当になってはいます。
しかし警察は、大根さんの当時の家族の捜索および捜査も開始した、との情報も得ました。
なのでカイワレさん、早めに知波さんとコンタクトを取り、当時の詳細を訊くべきかと思います。
報告は、以上となります。
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カイワレはこの報告を受け、ひどく心が痛みながらも、安堵した。
なぜならば、父は他殺じゃなかったし、伯母・聖も母・知波も殺人者ではなかった!
カイワレの目に、うっすら涙があふれた。
もちろん父には…自殺なんてして欲しくなかった。
けれど父はそれを選んだ…仕方ない、としか言えない。
いや、病気がそうさせたんだ!とカイワレは、思い直した。
そして、母・知波には時間がない。
警察の手が、カイワレや知波に迫っているからだ。
ひかりへお礼を伝えると、カイワレは今後の対応をポーちゃんとひかりに伝えた。
歩に知波の状況を訊き、数日中に小鳥遊宅をふたたび訪れる事を、カイワレはふたりに約束した。
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部屋の空気がひどくよどんだ気がして、自室の窓をカイワレは全開にした。
窓辺に顔を出すと、真冬の冷たい風がカイワレの頬をひりひりと刺してきた。
なんだかとても気分が悪くなり、すぐに窓を閉めた。
冬来たりなば、春遠からじ、か。
イギリスの詩人の言葉が、ふと浮かんだ。
気を取り直そうとカイワレは、洗顔しに部屋を出た。