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タテヨミ

LINEにミュート送信機能が付いてから
夜中のこっそり送信が手軽になった。
あれ、置き手紙みたいでいいよね
向こうもそう思っていたようで
そんな笑い話をしたことがある。

そもそもLINEがおまけ的で
大概の用事は電話で済ませる。
なのでおやすみのLINEなど
日課でもないし不要と言えば不要。

ただ、その日の夜は
何か残して寝たかったんだ。
スタンプ一個じゃ味気ない気もするし
おやすみ、の一言が
わざわざミュートで送るほどのことか?
とも思う。

彼は妙なところで一句詠むのが好きで
心身弱るとすぐ辞世の句とか言い始める。
はじめは流していたけれど
最近は少し返し歌みたいに乗ってみる。
ただ、あれってものすごく難しい。
140字が無限に感じさえする。

考え抜いた結果
縦読みLINEを送ることにした。
どうせなら気づいて欲しいので
頭を平仮名にしてみたり
変なところで改行したりして
渾身の9行を、1行ずつミュート送信。
よく不発してしまう(※通常送信)ので
えらく慎重になりながら。

翌朝、7件の通知。
がっつり7行分の返し歌きてました。
こういうところが好き。

「眠れなかったのかな?あんな時間に」
彼は電話越しに心配してくれていたけど
それはこっちのセリフです
あなたの7行は3時。
わたしの9行は22時。
時々大ボケかますよな。
可愛いから黙っとこう。

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