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鉄の味

真面目に保湿してたのにな。

唇が切れてしまった。
中の方で、ぱっと見は分からない。

「切れちゃった気がするの」

「どこどこ」

「ほらここ」

見えるわけない。
私が眼鏡の方が似合うと言った日以来
コンタクトはやめてしまったらしい。
裸眼に加え薄暗いこんなところで
僅かな切り傷なんて見えるわけない。

「あ、ほんとだ。血の味がする!」

そこ喜ぶところじゃないよ!と
ざわついてる気持ちを押し殺して笑った。
ああこの人、私の血舐めちゃった。

ど変態だと思っていた彼より余程
私の方が歪んでるかもしれないな。
循環に至る量ではないなとか
思ってしまっているし。

ああ好き。

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