【エッセイ】エンパス!現実主義の母と私と幽霊と 28. カルマは返る
自分の蒔いた種、悪い行いは巡り巡っていつか自分に返ってくる。
よく著名な霊能者やお坊様などがそんな事を言うけれど、私自身も「ああ、これがカルマが返るという事か」と納得する出来事に遭遇した。
まさにそれは因果応報。カルマが返ったのは母だった。
前記事で書いた、あの孫産めヒステリー事件から約一年が経った頃だった。母はある婦人科系の難病を患った。
病名が分かるまでは難儀した。医者だからといって原因とか病名が分かる訳ではなくて、とんちんかんな事を言われたり、病院もたらい回しにされたりで……。
結局こちらが調べに調べてある病名に目星をつけ、医者にその病気の可能性はないかと提示した事で病名が付き、ようやく治療が始まったのだ。病気は今も完治しておらず、私が病院の付き添いなどをしているのだが。
ところで、私が何故これが因果応報のカルマだと気付いたのか――。
それは、病気について調べている時、突如としてある怪奇現象に襲われてしまったからである。
あれは母の治療が始まり、更に良い民間療法などはないかと調べていた時だった。
その時私はベッドにいて、横になりながらスマホで情報を漁っていたのだが、突然グイッと何者かに腕を引っ張られたのだ。強い力だった。「邪魔するな!」と、そんな女の声と共に私は床に転がり落ちた。
時間にして僅か三秒ほどの事だったが、瞬時に私は気付いてしまった。腕を掴んだあの霊の正体と、何故そんな事をしたのかを。
その幽霊は母に取り憑く生き霊だった。
母に生き霊が憑いていたなんて、それまで全然気付かなかったが、あの一瞬の出来事により私は「ああ、そういう事か」と納得する。
実はあの生霊の正体は母が昔不倫をしていた相手の奥さんだったのだ。もうだいぶ前の事ではあるが、母は家庭がある人と不倫をしていた。その期間はたぶん7〜8年くらいだっただろうか。
今となってはその事について家族間では話題にしないし、触れてはいけないみたいな空気になっている。
そもそも兄や弟はあれが不倫なのかさえ分かっていたのか怪しいが、私は間違いなくあれは不倫だったと言い切れる。
そりゃそうだ。何でよその男の人が月に数回家に来ては泊まっていくのか。特に私はキスやそれ以上の性行為真っ最中の現場をこの目で見てしまっているのだから。
おかしいのは母がその不倫相手をよく祖母の家にも連れて行っていた事だ。祖母たちには友達だと言っていたけれど、そんな雰囲気ではない事は誰が見たって分かる事だ。
しかし、あの時は誰もそれについては言及しなかったし、臭いものには蓋をするみたいな、みんながみんなそんな感じで……。
更には信じられない事に、ある時その不倫相手は自分の息子を祖母の家に連れて来た。祖母の家は山奥だったので大自然に触れさせたいと単に遊びに連れてきただけの様だったが……。
その光景を見た私は何とも複雑な気持ちになってしまった。息子がいるという事実を目の当たりにした事のショックというか戸惑いというか……。
まだ幼かった私はこの時初めて、もしかして私たち家族はこの息子とその母親を傷つけているのではないかと思ったのだ。そして、私たちに良くしてくれる一方で、この不倫相手は自分の家族を裏切っているのかと。
母や兄弟はそれを見ても何でもないように笑っていたけど、私はチクリと胸が痛んだ。
そんな事もあり、それ以降その不倫相手に対し、私だけが何だかいつもモヤモヤしていた。そしてそれを更に加速させ、嫌悪感まで抱くようになったのは、その不倫相手に胸を触られたからである。
不倫相手は突然私の服の中に手を入れてきた。そうやって私は二度ほど胸を見られては触られてしまったのである。当時私は小学校5〜6年。同級生の女の子にでさえ胸を見られるのが恥ずかしかったのに。
当然誰にも言えなかったし、それは本当に嫌な記憶として残ってしまった。子供の胸だからって触っていいって訳じゃないし、むしろ子供だったからこそトラウマになったというのに。
……って。ああ、また段々と話が逸れてしまった。昔の事を思い出したらついつい止まらなくなってしまった。
ともあれ、話を戻すのだが……。
前に、ある霊能者が不倫していた人は婦人科系の病気になりやすいと言っていたのを思い出し、今回私もそれはすごく腑に落ちた。
そして私自身の感覚でいえば、生霊が憑いているとなると、これはもう、なかなか厄介な事だと思っている。
あの「邪魔するな!」の口ぶりからすると、私が母の為に何かしたとしても全てにおいて邪魔されると思われるし、おそらくは全部が裏目に出るだろうと。
しかも困った事に、たまに母が感じる体の痛みを私が感じてしまうから嫌になる。
これはエンパス体質であるが故の痛みの疑似体験ってやつだろう。本当に酷いし、痛くて辛い。母の業を私まで一緒に背負ってる感じだ。
しかし不思議なのは、何故今頃になって生き霊がやってきたのかという事だ。
そして恨みというのは簡単には消えないし、いつまでも執念深く残るものなのだなと私はつくづくそう思った。
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