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【エッセイ】エンパス! 現実主義の母と私と幽霊と 1. きっかけ
――“ 嘘つき”
幼い頃、母は私にそう言った。
その言葉が良くも悪くも人生の岐路になったのは間違いない。私にとってそれはこの上ない否定であり、悲しみであり、苦しみであり、大変ショックな傷となった。
さて、突然だが、“エンパス” とは何かご存知の方はいるだろうか。
かくいう私も恥ずかしながら数年前に知ったのだが、一応説明すると、エンパスとは
【 共感力が高く、人の感情や波動などを敏感に感じ取ってしまう人 】の事である。
そして私はそのエンパスだ。
ただし、ここで言いたいのは、私の場合さほど強くはないのだろうと言う事だ。
そう思うのには理由がある。たまに条件が重なり、運悪く信号をキャッチしてしまった時には発動するが、普段はあまり分からない。常時この能力が働いている訳ではないからだ。
そのエンパスという言葉自体、数年前に知ったのだから、当然私は自分がエンパスだとは知るはずもなく、それまではずっと霊感があるんだとばかり思っていた。
実際、たまに人から出るエネルギーの流れが見えたり、視界にパッと人影が映り込んだり、もちろん本格的な霊体験にも遭った事があるからだ。
しかしどこかで釈然としない気持ちもあった。
前述の通り、普段の私はあまり分からない、霊においても常に視えている訳ではないからだ。
たまに油断すれば出会す程度なのに、これを霊感と言ってもいいのだろうかとずっと引っかかりを感じていた。それこそ気分屋みたいに発動する、何て中途半端な霊感だろうと思っていた。
そんな中、某刑事ドラマを観ていた時の事だった。偶然観たその回ではエンパス体質というものがテーマになっていて、登場人物はその能力があるが故に大変な苦労を背負っていた。
エンパスだなんて、そんなものがあったんだと、世の中には変わった体質の人がいるものだと、最初は他人事のように観ていたのだが、そのうち、その特徴がいくつも自分と符合している事に気が付いた。
「……え!? それって私の事じゃない!?」
と、驚くと共に何かがストンと胸に落ち、妙に納得したものだ。
その後いろいろ調べてみると、私はエンパスの中でもいろんなタイプの混合型で、主にはスピリチュアル型と直感型のエンパス体質らしかった。
エンパスの特徴として挙げられるのは、
⚫︎他人の感情を自分の感情のように感じる。
⚫︎予知夢などを見る。
⚫︎人混みが疲れる。
⚫︎さまざまなものの波動を感じ取り影響を受ける。
などなど、他にも様々あるのだが、私はまずこの“ 波動 ” という所にピンときた。
それはすなわち、良くない波動も受け取ってしまうという事で、周知の事実だとは思うが、幽霊などはまさしくそれに該当する。
こうして長年引っかかっていたものがようやく解消した。
普段は視えないがたまに起こる霊体験は、良くない波動をキャッチしてしまったが為に起こる現象だった。
……ともあれ、それまでは霊感のせいだと思っていたし、たまにでも怪奇現象に遭遇してきた事は事実なので、だから冒頭の部分に戻るのだが――。
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