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「家族を想う時」
この映画には、救いがありません。そんな事は、最初から分かっていた。分かっていたのだけど、観たかった。
ケン・ローチ監督の前作「わたしはダニエル・ブレイク」を観てイギリスの福祉の話は、ちょっと日本の福祉に近いなと思っていたこともあり、今年結構売れていてとても嬉しかったブレイディ・みかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んだばかりだったので、イギリスの中産階級以下の生活について、もっと知りたかったのもある。
そして、この映画はたった1時間40分しかないのに、全編ゆるやかに重たくてそして悲しい。
私は、共働きで4人家族だ。子の年齢構成もとても近い。それだけで、色々考えてしまう。
一瞬だけ挟み込まれる4人家族が楽しそうにするシーンは救いのシーンなのだけれど、やはり後でそのシーンですら苦しみの連鎖へと繋がってしまう。
今更、この国で打ち出される就職氷河期世代への支援と同じくらい救いがなかった。
この4人家族が、少しでも生活保護などの福祉に繋がり、ほんの少しでも生活が楽しくなることを祈りながら帰路についた。