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遅すぎることはない

フィンランドから帰国して、どうしようかと思いながら過ごす日々
こんなにのんびり過ごせることは人生にあまりないから
今はまぁいいか、と思う自分と
社会に出てはたらなくちゃ、と思う自分がいる
多分、本当は、前者でいたいんだと思う
でもどうしても、日本、という国にいると後者であることを
求められているような気がしてしまって苦しい

やりたいことがないわけではない、でも
そうやって足踏みを続ける日々

そんなある日、母がピアノを習い始めた
音楽が大好きな母
幼少期はピアノの発表会に、中学高校生時代は吹奏楽部の演奏会に
どこだろうと聴きにきてくれた母
ずっと弾いてみたかったのだそう

でも、弾ける訳がないからと諦め続けていた母が
今、ピアノを習い始めた
挑戦してみようと思ったのだそうだ、私の姿を見て
私がフィンランドで奮闘する姿を見て、思ったのだそうだ

なんだかとっても嬉しかった

まずは体験レッスンに行った母、とても嬉しそうに帰ってきた
「意外とできた」
と嬉しそうに語る母が披露してくれたのは

ドレミファソ ソファミレド

鍵盤を上がって下りる、単純なもの

「両手でできるかが一番心配やってん」

そう言いながら、ただひたすら

ドレミファソ ソファミレド

を両手で30分間練習し続けていた
終わった後の一言は
「楽しかったー」

初めてピアノの前に座り指を動かす少女みたいに見えた

そんな母の姿に
何かを始めるのに遅いってことはない、と教えてもらった気がした
そして
楽しむ、夢中になるって、強いなと思った

私にもまだ出会っていない新しい始まりが待っているはず
探しに行ってみようと思った

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