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2.10 伊勢うどん
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前にも言ったことがあるが、食べたもののことだけ日記をつけている。日記をつけていておもしろいのは、それが何年か積み重なってきてからで、冷凍庫の伊勢うどんを茹でて、その前に湯が沸くまでに伊勢芋をあたって、とろろ伊勢うどんを食べながら、あれ?これ、いつかも食べたな、と、日記をさかのぼると、令和6年1月16日火曜日もまったくおなじものを食べている。
おなじ人間が、おなじものを食べているのだから、もっとも不思議はないが、夜は鶏豆腐でも……と思っているところに、鶏と春菊の小鍋立てとしてあったところを見ると、どうにもカラダが求めるものが、その日とまったくおなじようで、なら、いっそ今夜もそれでいい気にもなる。
伊勢うどんを食べて、単純ながら伊勢や鳥羽が無性になつかしくなる。いつもの旅に出たい病に違いない。冷凍庫にあとふた玉。この伊勢うどんはなかなか彼の地からこちら、なんなら松阪すら越してこないところがおもしろい。
なんでもかんでも、麺のコシ偏重主義がまかり通ってるなかで、局地的に生き残っている伊勢うどん。そのやわらか、たまり醤油、葱、どれひとつ取っても土地の歴史しかないところがいい。
なんてことを、多分、去年のその日も考えていたにちがいない。なんせ、おなじひとなのだから。
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