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1.6 おもち

   正月、お餅を食べる。富山の新大正餅、栃尾の希少な餅、近所の和菓子屋の餅──は、新潟の黄金餅、切餅の新潟黄金餅、切餅の滋賀の羽二重餅。いただきものの餅が多い。餅って、旨いな。と思って、買いに行ったのが、滋賀の羽二重餅。至高の餅なんて胸を張っていたけど……まぁ、それぞれに旨い。そして、火加減を見極めるのに、随分と時間がかかった。その都度、食べた。太った。その探究心あってのこと。
   餅を買いに行くと、餅の並んでる棚が狭くなっていた。昨年、米がなくなったときは、いつもだったら米の袋の並ぶ棚に、文字通り切餅が幅をきかせていた。そういえば、餅って通年並んでるのか?そうならば、どこに並んでたのか?やはり、米の隣なのか?今年、しみじみ旨いと食べたが、きっと、もうじき、餅のことも忘れる。餅の棚のことも忘れる。あっても、目に入らない。すれ違う、ふたり。みたいな。いや、ぜんぜん、みたくない。
   今年はとうとう「お正月 おもち 何個 食べました?」という年賀状は、一通もこなかった。と、締めようと思ったんだけど、よく考えてみたら、昨年も一昨年もそんな年賀状をもらった記憶なんて、まったくなかった。
   お正月、おもち、何個食べましたか?

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三遊亭 司
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。