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1.16 日常

   阪神淡路大震災。わたしは中学三年生で、中学生から高校生になる年でした。学校へ行く支度をしながら目にしたニュース。学校へ行ってから、昼休み、放課後、学校から帰ってから、翌日……時間とともに大きくなってゆく被害。それは、このあと目にするどの震災も同じです。
   東日本大震災。14年前。二ツ目の出番で新宿末廣亭に入れていただいていました。11日なので、中席の初日です。主任トリの桂文楽師匠にご挨拶をするために、中入り直前に楽屋に戻り、14時45分に中入りに入ってすぐにあの揺れです。一門の三遊亭律歌も林家はな平もまだ前座。とうとう文楽師匠はお着きにならずに、先代の古今亭志ん橋師匠が『井戸の茶碗』で終演バラしました。わたしは5時間歩いて家まで帰りました。
   能登半島地震。自宅での新年会の最中でした。揺れましたが、テレビもついていなかったので、その被害を知るのは翌日でした。こちらも被害が日に日に大きくなりました。そして、復興もまだまだこれから。
   どの震災も、災害も、その直前まで、いまこうして原稿に向かったり、夕飯のことを考えたり、週末の予定を確認したり、昼寝しようかなとおもったり、そこにはありきたりな日常がありました。それが一瞬にして変わってしまう。
   あれから30年。阪神淡路大震災があった1月17日の前日。前日にはこんな災害があるなんて考えることもなく、いつもそこには、ありふれた日常があったはずです。あらためて、なんでもないきょうという一日に、感謝。

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三遊亭 司
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。