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【噺】雑俳覚書・気結冠沓
昨日から下谷神社で、三日間五公演の雑俳の会。昨日はわたしが出演する初日。昨日の高座でも『雑俳』をかけたけど、落語の演題の雑俳ではなく、俳諧をもとにした言葉遊びを雑俳と呼び、川柳や都々逸もこれにあてはまる。(川柳を入れない場合もあるそう……むむぅ)いい遊びだな、と思い、わたしも柳家小ゑん師匠を中心としている、落語協会の有志の会に、数年前から参加している。と、いっても、悪疫騒ぎで、なかなか開催がないのだけれど。
それでも、その間、ひらきと呼ばれる発表が一回、ひらきを開催できてない投句が一回、昨日のような落語会形式の会が二回あった。
わたしが出演した、昨日の兼題が『気結冠沓/有名樹木の名前』だ。ちなみに、楽屋でみんなが話しているのを耳にするまで、キケツカントウだとばかり思っていたが、キムスビカンクツと読むらしい。まず、わたしの知識は、この程度だ。
もひとつ、ちなみに、昨日の出演者は、三遊亭金八、古今亭菊志ん、古今亭志ん丸、三遊亭窓輝の兄さん方で、菊志ん兄とわたしが初心者、世話人の古今亭駒子をふくめて、かなりの手練れ。
さて昨日の兼題、この 気結冠沓だが、まず冠沓があって、それの気結びということらしい。投句直前に、この気結びについても、はじめて知った。ここは、わたしの俄か解説よりも、柳家小ゑん師匠が雑俳の手引きをホームページとして残しているので、きちんと知りたい方は、それをご覧いただくのが、まず、間違いない。
まず、これを読むと、お前がちゃんと読んでないだろ。って、声が聞こえてきそうだ。それぐらい、ちゃんと、全部、書いてある。冠がこうで、沓がこういうことね、と。
で、今回の兼題は気結冠沓なので、短歌でいうところの下の句の七七。この、あたまとお尻に樹木の名前から入れ込んでつくる。たとえば、わたしのだったら、まず、気結びになってない冠沓だとする、取ったのはカエデ。
・顧みる日々淡い思い出
これだと
・カエ○○○○○ ○○○○○○デ
と、冠沓にはなっているものの、気結び……つまり、元になった楓を入れていないので、楓からメイプル、メイプルシロップを連想し、
・顧みる日々甘い思い出
こんな感じに作り直したということ。
これと同様に十句以内投句し、お互いに選句する。で順番をつけて選句したものを発表していくのだが、その時に、選句したものに効キをつけて読み上げる。例えば、わたしのさきほどのを選んだとすると(本来自分のは選べない)、
効キ つないだ手ぬくもり残る冬の道
○番 顧みる日々甘い思い出
と、こう発表していく。
この効キも、いままで参加したのがそうだったので、七七でつけるものだとばかり思っていたが、七七を詠む冠沓に関しては、五七五でつけると、ひらきの五分前に知り、わたしだけ全てに七七でつけていた。これは、本来、連歌の稽古というのが理由らしい。ん?だったけ。
この他にも三音留は好ましくない、とか、体言止めが好い、とか、昨日も笑ったり、感心したりのひらき。ちなみに、昨日のような、落語会とひらきの会が一緒になった会は、お客さんも投句ができる……と、いうより、客席の方が、ずっと手練だ。わたしが、天の位に選んだのもお客さんから。
こんなわたしの選句では、嬉しくもなんともないだろうが、一番……天の位に選んだのが、こちら、七七で詠んだ効キは、五七五に直しておく。
効キ 鈴の音は今宵待つ子の子守唄
ヒイラギ 緋色のリボン聖夜安らぎ
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