あたり棒を大量生産した話 ーアタリ三連星! ジェット・アイスクリーム・アタックー
夏の主戦場 プロローグ
夏の思い出といえば、ガリガリ君です。
東京下町川口エリア(武南地方)ー別名キュポーラの街ーのキッズであった私達も日本全国のキッズと同じように赤城乳業製の「ガリガリ君」を駄菓子屋で購入する。
私が小学生の頃は町工場の名残や実家が町工場を営んでる人がクラスに数名は大抵いたのです。
そう、駄菓子屋との命をかけた戦いがそこには潜んでいる。
ガリガリ君の思い出
外道店主
この地域(エリア)の駄菓子屋は悪びれるこなく子供達を鴨にして、平気でボッタクリ商品やバッタ物を掴まさる。駄菓子の釣り”あたり”まさに外道。
そんな子供達は日々反撃のチャンスを伺いながら、チームで”パクリ””くすねる”というスキル覚えてチームプレイで戦う。
※地域によっては万引きという軽犯罪らしい。当時のこの下町キッズにとっては治外法権が適用されてると思っています。
駄菓子屋のマスターとキッズ達の一進一退のハイレベルな心理戦が繰り広げられてるのが昭和時代の風物詩。
見つかる恐怖に怯えていては、この東京ラビリンスでの夏休みを生き抜く事ができない。パクリがばれても逃げるのが基本なのである。決して親や学校にチクる事もしない。暗黙のルールが存在してた。
夏休みは駄菓子屋も繁忙期であり、俺たちは反撃の狼煙を上げるシーズンなのである。
夏は熱いから子供にとってアイス「ガリガリ君」は、生きる術なのだ。炎天下に食べるアイス無しではアスファルトの跳ねっ返りの熱でくたばってしまう。体力の少ない小学生キッズはアイスなしには生きていくことができないのです。
実弾硬貨
当時の我々小学生の軍資金はファミコンに主に当てられ、配給される弾薬(日本銀行硬貨)は無駄遣いはできないのです。アイス当時50円を毎日食べるとしたら約40日分=2,000円。当時の小学生は概ね月ごとに配給される弾薬は平均3,000円程度ある。8割近くを占める。とてもじゃないが、毎日アイスを食べるという行為は儚い夢なのでした。
3%の救いの手
一方、神のいたずらなのか「ガリガリ君」は【あたり】がでればもう1本もらえるのである。その確率はわずか3%。
疑惑
小学生の頭でも50本ぐらいに1本のあたりという大体のイメージがあったが、私達のイキツケの駄菓子屋の店主は痴呆である事を何となく気づいていた。呆けとるのでこちらの”あたり”を記録もせず、覚えていないのではないかと。
そして、希望の3%全てを託すのです。
東京下町キューポラの街はプレスマシーンだらけ
そんな、ある日。
熱い中、サッカー遊びをしてる時に頭のよい友人(武蔵中進学)がある提案をしてきた。
F君
「アイスの当たり棒を作る事ができるのではないか?」と投げかけた。
R君
「そうだな~あそこ(駄菓子屋)の店主は、あたり絶対覚えてないぞ、いいアイデアだな~それ!アイス食い放題じゃん!」
私スナフキン
「どうやって、あたり棒を作るんだ~」
R君
「俺、ガリガリ君の”あたり棒”この前、弟が隠してるの知ってる、それをもってきて複製しよう。作れるのか~彫刻刀では難しいぞ」
F君
「家や親戚に工場で働いてる人に聞いてみるのがいいじゃん?」
D君
「じゃ、パパの仕事場で作れるか聞いてみる!」
ALL 「頼むぞ」
このような流れでアイスの当たり棒を制作するプロジェクトが始まった。
プレスマシーン
昭和後期でに足立、板橋、北、川口周辺には街にまだ、街工場が沢山稼働していた。家と工場が同居してる友人もかなりいた。
翌日、工場を経営してる父親を持つ友人がどうやら、当たり棒を作る事と環境があるらしい。
この千載一遇のチャンスがこの地域に合致した。歯車は加速度的に回りだした。夏休みで俺たちは暇っ子なのだ。
友人の親が働いてる工場に俺たちは、忍び込んだ。
特に問題なく、プレスマシーンの紹介され教えてもらったが、子供はあつかっちゃ駄目との事でプロジェクトが頓挫しそうだった。友人がめっちゃ駄々をこねて粘りをみせた。
従業員の人が救いの手を出した。
「じゃ、時間があったら僕が作るから、どういう工作がしたいの?」
私達たちは悪びれる事なく、ガリガリ君の当たり棒の量産を依頼したのだ。
どうやら、夏休みの工作の一貫と思っていたらしいのだ。
従業員の人
「困ったなー、でも面白いアイデアなので試しても見るか。でも内緒だよ」
こんなやり取りで話がついた。
昭和時代は、大人も茶目っけがあった人が多いような気がしてます。コンプライアンスより何か子供たちの夢を叶える方が優先してる気がしてならない。大人が大人として振る舞ってくれる。
数日後
アイスのあたり棒の複製、完全ではないがほぼほぼ一緒のものを束でもらった。あまりの量に俺たちはビビりまくった。
これが粋ってやつか。
幼心に大人ってやっぱスゲーってなった。
三連星!ジェットアイスクリーム・アタック
いよいよ、各自で弾丸(50円)を装填しお店に乗り込む日になった。偽造”当たり棒””はまずは各自1本用意した。この日は私を含めて3人。
連続で”あたり棒”をだせるか、不安と緊張で身震いした。この作戦の弱点は1本は各自自腹を切る必要がある。
店外に設置してる冷凍庫からガリガリ君を皆で手にとった。
ここまではいつも通り。
まずは、通常に実弾(50円)を駄菓子屋の店主の手のひらに打ち込まなくてはいけない。私はリボルバー(マジックテープの財布)から実弾(50円)をぶっ放した。
店主
「毎度~、今日も熱いね~」
私(スナフキン)
(今日これから起こる事を知らずにいい気なもんだ・・・)
友人も実弾(50円)を弾いたようだ。
店主
「どうもー、外の冷凍庫の蓋は閉めたかー!」
友人
「わかってるよー」
ALL
(実弾50円硬貨はブラフ。ここからが本番だぜ!)
しばし、外でガリガリ君をむしゃぶり尽くした。
炎天下のガリガリ君は半端なく美味かった。
そして、全員ハズレであった。
額に汗が滴る。
誰が最初に偽造”当たり棒”を出すか決めてなかったが、幼なじみ間に野暮な決め事などない。
汗が熱したアスファルトに染み込んだ瞬間!
いつも、頼りになるリーダー各の友人K君が先人を切った。
友人K君
「スナフキン(私)!、N!
ジェット・アイスクリーム・アタックを仕掛けるぞ!!」
K君
「おあばちゃーん、”あたり”出たよー!」
おばちゃんに了承を得ずに偽造”あたり”をレジ卓に置きっぱなしに、外にある冷凍庫に走り抜けた!
間髪入れずに私が横にスライドインして、考える時間など与える事など駄菓子屋のババアに与えてはいけない!やる!俺たちの連携ならやれる❗️
スナフキン(私)
「俺も”あたり”だーーー!!」
私もレジ卓を左旋回して、店外の入り口に向かう。
駄菓子屋店主
「何ーーー!」 (多分言ってない)
N君
「うっっっソだろー、俺も当たりだーー!」
「俺たち、ラッキー、ラッキーだ、こんな事あるのかー!」
店主
「ぐっ。。。。ぬううう」
最後の一撃を店主に食らわせ、右旋回にスライドして入れ替え際に最初に偽造”あたり”で手にいれたガリガリ君を手にしたリーダー格のK君が戦利品の如くガリガリ君を店主に向かって見せびらかした。
著者の文書力がないので動きを上手く説明できないのでウィキの解説と関連動画をイメージを膨らませて読んで下さい。
かくして、少年スナフキン達は駄菓子屋から急いでアイスを合計6個を入手したのでした。
連続で偽造”あたり棒”を間髪いれずに叩き込む攻撃は見事に成功したのです。如何に素早く偽造”当たり棒”をみせて、引き合いにもう一個拝借していくか、この一連の行動を連携で畳み掛けるというアクロバティックな大技を繰り出せるかの攻防。
昭和のキッズ、駄菓子屋の店主共に悪びれる素振りはない。
あるのは人情と度胸なのです。
東京下町キューポラ・アンダーグランドは知恵と勇気とセンスが問われる場所なのです。
■補足事項■
成功した要因は、古のテレビアニメ「ガンダム」からヒントと助言を得ていた事が大きかったのだろう。連続でジェット・ストリーム・アタックを仕掛けるヘマをしないのです。昭和の子供は知恵はテレビアニメから応用が基本にして王道なのです。
もし、連続で偽造”あたり棒!”を出してしまっては、「踏み台」にされてしまう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
ただのダジャレ創作かいな(いいえ、事実です)
昭和のクソガキってどこもこんな感じだったと思います。
私達だけがクソガキOFクソガキとは思えません。
夏の思い出でした。
※あくまでも思い出補正です。
あの時の従業員さん、本当にありがとうございます。
※※
誤字脱字、加筆修正は時間ある時に行います。
ではでは。
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