「辞めさせろ!辞めさせマン!」第一話

第一話「サッカー部を退部させろ!」

○ オープニング
  辞めさせマンのテーマ。

○ 部室 夕暮れ

 浦野高校サッカー部顧問の阿沢とキャプテンの蹴太が部室で話をしている。

阿沢「蹴太、このチームはお前が軸なんだ。キャプテンのお前がそんな考え方で、本当にチームが勝てると思うか?」
蹴太「いや…」
阿沢「どうなんだ?何か言いたいことがあるんなら言いなさい」
蹴太「あの先生、実はオレ…」
阿沢「なんだ?何でも言ってくれ」
蹴太「サッカー部、辞めたいんです」
阿沢「分かるよ、分かるその気持ち。キャプテンだもんな。プレッシャーを感じているんだろう。でもな、そういう時こそ、先生や仲間がいるんじゃないのか?なあ、先生を頼ってくれ。頼む、な?確かに先生は…」

 阿沢、しゃべり続けるが蹴太の耳には入ってこない。

蹴太OFF「違うんだよおお、違うんだってええ!辞めさせてくれよお!オレは、部活を、やめたいんだああ!」

○ 蹴太の帰り道 夜

蹴太「ハア…せっかく言ったのになあ…分かってもらえなかった…」

 辞めさせマンが登場する。

辞めさせマン「青年、どうしたんだ?パグみたいに困りこくって」
蹴太「(異様な姿に驚愕し)…誰ですか…」
辞めさせマン「オレか?俺の名は辞めさせマン」
蹴太「辞めさせマン…?」
辞めさせマン「またの名を、辞めさせマンだ!」
蹴太「同じだ…!」
辞めさせマン「オレはな、全国の辞めたいと思っている人間の元に行き、そいつと共に辞めさせるよう説得しているんだ。君の名前は?」
蹴太「(携帯電話に)…あの、不審者に絡まれてます、助けてください」
辞めさせマン「警察は辞めろ!」

 蹴太を追いかける辞めさせマン。

○ 公園
 走って公園にやって来る辞めさせマン。

辞めさせマン「…ハア、ハア、ここまで来れば大丈夫だ。次警察に電話したら許さないからな」
蹴太「すいません、だっておじさん怖くて」
辞めさせマン「おじさんじゃない、辞めさせマンだ。あと警察はやめさせまん大の苦手だから本当に辞めてくれ」
蹴太「ごめんなさい」
辞めさせマン「で?少年、君が辞めたいことはなんなんだ」
蹴太「いや、どうして分かるんですか?」
辞めさせマン「ふふふ、辞めさせマンはな、これを持っているからな!…辞めさせーダウジング!」
辞めさせマンOFF「説明しよう、辞めさせダウジングとは、近くにいる何かを辞めたい人が行く場所を知らせてくれる能力である!」
蹴太「すごい…!ゴクリ」
辞めさせマン「で、青年。君の辞めたいことはなんなんだ」
蹴太「おじさん、実はオレ、」
辞めさせマン「おい、次おじさんって言ってみろ、高校生だろうが大変な目に遭わせるぞ」
蹴太「あ、すいません」
辞めさせマン「大人を舐めるなよ。どんな手を使ってでも殺すからな。で、どうしたんだ?」
蹴太「実はオレ、サッカー部を辞めたいんだ」
辞めさせマン「なるほどな、どうして辞めたいんだ?」
蹴太「実はオレ、サッカーを辞めてカルタを始めたい。だからもうサッカーを辞めたいけど、キャプテンだし顧問の先生が熱い人だから辞めずらいんだ」
辞めさせマン「なるほどな。でも、どうしてカルタなんだ?」
蹴太「カルタってすごいんだぜ。あの一瞬の為に全てを集中する感じと、カルタ部に可愛い人がいるからお近づきになりたいんだ」
辞めさせマン「後半の動機が不純なのが気になるが、分かったぜ。オレが見事お前をサッカー部から解放してみせる」
蹴太「ありがとう、辞めさせマン」
辞めさせマン「君の名前はなんだ?」
蹴太「蹴太です。よろしく」
辞めさせマン「ああ、よろしく蹴太。そうと決まればさっそく先生に言いに行くぞ」
蹴太「え、今からですか?」
辞めさせマン「ほら、よく言うだろ、鉄は熱いうちに打てって。な、さあ行くぞ」
蹴太「いや、辞めさせマンがなんかアドバイスをくれて、オレが先生に直談判するんじゃないんですか?」
辞めさせマン「オレはな、人が辞めるのを応援したいんじゃない、人を辞めさせたいんだ。な?分かったらとっとと行くぞ、蹴太」
蹴太OFF「なんか怖いな、この人…」

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