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違和感を積み重ねること


お気に入りのキーホルダー

去年、婚約した際に今の奥さんから、「指輪は無くすから、婚約指輪ではないものがいい。」と言われていた。

それに、婚約指輪を渡すという一方的に贈る行為に彼女は違和感を感じていた。
お互いに渡しあえるお揃いのものというのが彼女からの要望だった。

お互いに贈るものとして何がいいか考えた時、思いついたのがキーホルダーだ。お互いの帰る場所の鍵を束ねるという意味で結束感が生まれるし、毎日持つものなので愛着が生まれる。僕たちはお互いにキーホルダーをプレゼントすることに決めた。


そんな記念になるようなキーホルダーがないか探していた時に、POSTALCOのミネラルキーホルダーを見つけた。


この何色とも言えない独特な色の鉱石と重厚感のある真鍮の組み合わせでできたキーホルダーはアクセサリーのような高級感がある。しかも、このキーホルダーは一般的なリングタイプとは異なり、杭のような形になっている。そんな形の愛らしさを気に入った僕たちは、お互いにこのキーホルダーをプレゼントすることに決めた。

実際に使ってみると、キーホルダー自体がひんやりとして気持ちがいい。
移動中、ポケットの中にあるキーホルダーを触っているとほっと安心した気持ちになる。このキーリングは僕に小さな幸福を与えてくれる。

POSTALCOの物作りのプロセス

POSTALCOとはプロダクトデザイナーのマークエーブルソンさんとそのパートナーでありグラフィックデザイナーのエーブルソン友理さんがニューヨークで2000年に創業したブランドだ。

現在は日本に拠点を移し、文具や財布やバッグなど毎日使うプロダクトを日本の技術を生かして製作している。

このブランドの特徴はものを作る過程にある。マークエーブルソンさんは「レインジャケットはどうしてあんなに動きにくいんだろう。」というような「違和感」を日常で感じていた。


その違和感を起点に、雨が降った時に行う人間の動作や腕の構造など様々な視点からのリサーチを重ねる。そして、そのリサーチから生まれた気づきを元にプロトタイプ作る。そのプロトタイプで試す過程を経て、プロダクトが生まれている。


ミネラルキーホルダーも「鍵とはリングに繋いでおく必要があるのか?」というマーク・エーブルソンさんの違和感が起点となって杭のような形になっている。


このようにマークエーブルソンさんは普段見過ごされてしまうような自身から生まれる「違和感」を創造の源にしている。


違和感と向き合うこと


ただ、このように自分から生まれた違和感に向き合う人はあまり多くないのかもしれない。

違和感とはネガティブなものとして捉えられがちだ。特に共同体意識が高い日本において、自分と共同体の考えの違いから生まれるギャップである違和感はあってはならないものとして蓋をされる。

どこかおかしいと違和感を感じたとしてもそう感じる自分に自身が持てない場合「自分がおかしいのかと」その違和感を見過ごしてしまう経験が多くの日本人にはあるだろう。

ただその違和感は周りが気づいていないあなただけの気づきだ。

感じた違和感を自分にしかない気づきとしてポジティブに捉える。
そして、その違和感をなんとか言語化して自分の中に大切に温める。

それを繰り返していくと、自分の価値観や視点など見えでいなかった自分の個性が浮き出てくる。

違和感を大切にしろと訴えていた人物として、去年亡くなったエンジェル投資家の瀧本哲史さんがあげられる。彼は中学生に向けて書いた本「ミライの授業」でこう述べている。  

日常生活のなかで、さまざまな違和感を抱くことがあるはずです。「これってなんだ?」と不思議に思ったり、「なんかおかしくない?」と疑問を感じたりすることがあるはずです。この「小さな違和感」を大切にしてください。
違和感をスルーせず、自分のなかで大切に育ててください。
なぜなら、その小さな違和感こそが、未来につながる冒険の扉なのです。


自分の違和感を大切に積み重ねること。そして、その違和感に向きあうこと。それは新しい道に進んだり、新しい価値を創造することに繋がる。違和感は人生をより豊かに生きるヒントになるはずだ。

Yuto Furuta


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