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PENTAX(ペンタックス)17/時を超えて、今ここに。令和に誕生したハーフサイズフィルムカメラ

今回は、令和時代に誕生した新しいフィルムカメラのPENTAX 17(ペンタイチナナ)について紹介していきたいと思います。

今から2年前の2022年の12月20日に、RICOH IMAGINGのYouTubeチャンネルにて突然の発表がありました。
それは世界のフィルムカメラファンや愛好家の人たちを熱狂させる出来事となりました。

だれもが安心して楽しめるフィルムカメラを開発します。

この動画をキッカケにフィルムカメラ業界の熱は高まり、徐々に公開されていく新情報に胸を高鳴らせていました。

そして2024年7月12日に全世界にて発売が開始されました。
その名はPENTAX 17
通称ペンタイチナナです。

ハーフサイズフォーマット採用をした、ハーフサイズのフィルムカメラです。

特徴は、フィルムカメラと言えばこれ!の巻き上げレバーによる手動巻き上げを採用したことや、PENTAXの一眼レフレンズで定評のあるHDコーティングも採用をされた単焦点レンズを搭載しています。
また、デジタルとアナログを融合させたかのような、7つの撮影モードがされているところです。

「フィルムカメラはもう終わった…」

時代が移り変わりゆく過程で、誰もがそう思っていた中でのPENTAX 17の誕生。
何かこれから時代がこれから動いていく、そう思わせてくれる機種に違いないと思っています。

フィルムカメラをまだ体験したことのない人、現役でフィルムカメラを愛用している人、
新時代のフィルムカメラをぜひこの機会に触れてみるのはいかかでしょうか?

それでは早速、PENATX 17(ペンタイチナナ)の特徴について、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが解説していきたいと思います。


PENTAX 17の性能・スペック


まずは、PENTAX 17 (ペンタイチナナ)の性能、スペックから見ていきたいと思います。


  • 形式
    ハーフサイズレンズシャッターフィルムカメラ

  • シャッター
    プログラムAE電子シャッター
    1/350秒~4秒、B(バルブ)

  • レンズ
    HD PENTAXレンズ
    25mm(35ミリ判換算値37mm相当)
    開放F値 F3.5
    レンズ構成 3群3枚

  • フィルター径
    φ40.5mm

  • フォーカス
    ゾーンフォーカス(手動選択方式)
    6ゾーン(0.25m, 0.5m, 1.2m, 1.7m, 3m, ∞)(0.82ft, 1.7ft, 4ft, 5.6ft, 10ft, ∞)

  • 露出計
    部分測光

  • 撮影モード
    フルオート撮影、標準撮影、低速シャッター撮影
    絞り開放優先撮影、バルブ撮影
    日中シンクロ撮影(プログラム、フラッシュ強制発光)、低速シンクロ撮影(低速プログラム、フラッシュ強制発光)

  • 巻き上げ
    レバーによる手動巻き上げ

  • ファインダー
    アルバダ式ブライトフレームファインダー
    青ランプ表示:警告系表示、橙ランプ表示:フラッシュ系表示

  • 内蔵フラッシュ
    ガイドナンバー約6 (ISO100・m)、25mmレンズの画角をカバー
    充電時間:約9秒
    充電中表示:ファインダー右横橙ランプ:充電中表示(点滅)、充電完了表示(点灯)

  • 電池
    3Vリチウム電池(CR2)1個、充電式電池は使用不可

  • 質量
    290g(フィルムと電池を除く)

  • 発売年
    2024年7月12日〜現在


2000年代に入り、フィルムカメラそのものの人気が衰え、デジタルカメラが主流になっていきました。

2010年代に入ると今度はiPhoneをはじめとしたスマホが世界を席巻し、いつしかデジカメも使わず、スマホだけで写真を撮るのが当たり前になっています。

そんな時代に突如としてPENTAX17が誕生しました。

クラシックなフィルムカメラの魅力を現代に蘇らせるべく設計され、最新のテクノロジーと伝統的なフィルム撮影の美学を融合させたモデルです。

このカメラは、フィルムカメラの楽しさを知らない若い世代だけでなく、過去にフィルム撮影を楽しんだベテランの方々にも再びフィルムの世界に足を踏み入れるきっかけを与えています。

PENTAXがこれまで歩いてきたフィルムカメラの歴史はこちらのブログにまとめていますので、ぜひこちらも楽しんでください。

フィルムカメラのカルチャーを支えたい、応援したい


PENTAXが新しいフィルムカメラを開発する段階で、その中心にいた人物である商品企画兼デザイン担当のTKOさんのお話の中でこんなことをおっしゃっていました。

メーカーが出す製品として新品で保証がついて
若いユーザーの方々の手の届く金額でそれらを提供することで
この若いユーザーの皆さんの創出しようとしている
フィルムカメラのカルチャーを支えたい
応援したいというふうに思っています

<参照>PENTAX Film Project Story #1

多くのカメラメーカーは2000年代に入り、本格的にデジタルカメラの開発に注力し、自然とフィルムカメラの存在は皆さんの頭の中から消えていきそうな状況でした。
それに加え、フィルムの原材料の高騰からのフィルム価格の高騰、フィルムの種類の減少、そしてフィルムカメラを修理するラボが全国で減少していきました。

PENTAXがそれら全てをサポートすることはできませんが、こうして新しい風を吹かせることで、フィルムカメラ業界の熱が蘇ってくることを望んでいます。

2倍も撮影できてお財布に優しい


このPENTAX 17の大きな特徴は、ハーフサイズフォーマットを採用している点です。
通常35mmフィルムカメラを使用した場合、フィルムの種類によりますが、24・27・36枚のフィルム写真を撮影することができます。

フィルム選びとオススメフィルムは当店販売ページもご覧ください。

このハーフサイズフィルムカメラを使用することで、通常の2倍を撮影することができます。
つまり24枚撮りなら48枚、27枚撮りなら54枚、36枚撮りなら72枚も撮影できます。コスパはかなり高いです。

巻き上げレバーで撮る体験を楽しむ


フィルムを巻き上げるという行為は、昭和時代から平成初期までは当たり前に存在していたことで、その価値というものは特に注目されていませんでした。
それが令和時代になり、PENTAX 17を開発する中で、その「巻き上げ」という動作にPENTAXは注目しました。

フィルムカメラ特有の動作になり、それはフィルムカメラを操っているという喜びや楽しさにつながると思っています。
ひとつひとつの動作に楽しさを感じられ、特にフィルムカメラを触ったことがない世代の方々にぜひ味わってほしい機能です。

この巻き上げという機構を取り入れることだけで、相当の難易度があり、当時のフィルムカメラの図面を現代のテクノロジーで書き起こし、
それでも今のエンジニアでは困難の為、当時のエンジニアOBに話を聞きに行き、相当の努力が重なり合って完成したのがPENTAX 17です。

新時代のマルチコーティングを施したレンズ


今から50年以上も前の、1971年からPENTAXは「smc PENTAX」の名の付くレンズに搭載されているマルチコーティングという光学技術を大幅に進歩させていきました。
フィルムカメラ時代からデジタルカメラ時代へと移り行く中でも決してそ技術を枯らすことなく、時代と共に歩んできた歴史があります。
その中でHDコーティングという極めて強固なコート膜の形成の実現に成功し、高品質化だけでなく、汎用性を兼ね備えることに成功しました。
今回のPENTAX17にも、このコーティングが採用され、ハーフサイズカメラながら、高い描写性が実現され、デジタルに慣れたユーザーも満足できる仕上がりになっています。


7つの撮影モードで表現の自由度が無限に


今回のPENTAX17には7つの撮影モードが搭載されています。

  • AUTO (フルオート)

  • P(プログラムモード)

  • 低速シャッターモード(月のマーク)

  • BOKEH(絞り開放優先モード)

  • B (バルブ)

  • P↓(日中シンクロモード)

  • 低速シンクロ(月↓)

フルオートモード

フルオートモードはいわゆるシャッターボタンだけ押せば、カメラが自動で露出やフラッシュを調節して撮影できます。

カメラの設定の仕方が良く分からない人はまず、このモードで楽しむことをオススメします。

P(プログラムモード)

フォーカスはゾーンフォーカスの中から自分で調節しながら、露出(明るさ)はカメラが自動で調節してくれるモードです。フラッシュは作動しないので、昼間の外の撮影に最適のモードです。

低速シャッターモード(月のマーク)

フォーカスはゾーンフォーカスの中から自分で調節します。
フラッシュは作動しません。夕暮れ時など、少しくらい時間帯の撮影に適しています。(周りが暗いとシャッタースピードを遅くしないと写真が真っ暗になります。)

BOKEH(絞り開放優先モード)

フォーカスはゾーンフォーカスの中から自分で調節します。フラッシュは作動しません。レンズ絞り開放を優先するモードで、簡単に言うと、背景をボカしたいときに使うモードです。
人を撮影したり、飲食物の写真なと、スマホでもできる撮影モードをPENTAX17でも使用できます。

B (バルブ)

バルブモードは長時間露光の撮影ができるモードです。絶対に三脚が必要で、花火撮影など、光線などを撮る時に適したモードです。

P↓(日中シンクロモード)

フォーカスはゾーンフォーカスの中から自分で調節します。
露出はカメラが自動で調節してくれます。フラッシュが発光するので、良い背景で撮りたいけど、逆光で厳しい時や少し暗いところでの撮影に適しています。

低速シンクロ(月↓)

フォーカスはゾーンフォーカスの中から自分で調節します。フラッシュが発光されます。夕暮れや夜景をバックに被写体を明るく撮影することに適しています。これらのモードに加え、露出補正機能があるので、露出が足りない時などにこの機能を使うと、狙った写真を撮影することができます。

ゾーンフォーカスってなに?


撮影モードで解説されていましたが、ゾーンフォーカスというのがあります。
被写体との距離を目測ではかり、ピントリングにあるマークである程度フォーカスの目安を設定しておくことを言います。

このモードは、特にカメラ初心者の方には本当に分かりやすいものになっています。

風景を撮る時は「山」、数人で撮る時は3人モード、など、場面に応じて撮影モードを変えて撮ることをオススメします。

マクロ撮影も可能で、24~26cmまで被写体まで寄ることができるので、食べ物や植物を撮影するのに適しています。

詳しくはRICOH のサイトに分かりやすく図になっているので、ご覧ください。

ゾーンフォーカスについて

電池室兼グリップの扱いに注意


フィルムカメラを使用する点で、地味に大事なのがグリップです。
今回のPENTAX17は握りやすい形状のグリップが採用されており、指にかかりやすくなっています。
よって、誤ったカメラの落下を防ぐことができ、ストレスなく写真撮影に集中することができます。

ただ、一点注意点があります。グリップ兼、電池室の蓋になっており、ねじを外して電池交換をします。
その際、この小さなネジを紛失する可能性がありますので、電池交換の際は本当に気をつけてください。

使用電池はこちらです。カメラを使用しない時はなるべく電池を外して放電させないようにしましょう。(その都度面倒だと思いますが…)

令和はPENTAX17とともに歩もう


様々な賛否両論がありながら、PENTAXが令和という新時代に生み出したPENTAX17。
新しくフィルムカメラが開発されたという驚きと期待を背負っていながら、その描写性の高さに多くのフィルムカメラファンが虜になっています。
2024年10月時点ではまだまだ供給が不安定ではありますが、一人でも多くの人にフィルムカメラの楽しさを知ってもらいたいです。

そしてフィルムカメラ文化を日本から継承していく、そんな時代になってほしいと願います。

ぜひPENTAX17で今しか撮れない写真を撮りに行きませんか?


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