フクオカフォークフェスティバル2024【場所を作る、人を動かす。その瞬発力と地道な持続力について】
NPO法人福岡ミュージック・エイド主催のイベント「フクオカフォークフェスティバル」に参加した。
福岡の街には音楽を楽しむ場所がたくさんある。ツアーミュージシャンがライブをやるライブハウスから、マスターひとりで注文から音響までを切り盛りするライブカフェ、バーまで。
僕は全然「福岡の音楽シーン」というものの本流には属していない。いくつかのバンドを作っては壊し(壊れ?)作っては活動停止しながら20年。わりと引きこもり気味の多作なソングライター。
主な生息地は東区馬出にあるブローインニューソウル。
そこでいろんなアマチュア音楽家と知り合い、楽しく過ごしてる。
実は今回の「フクオカフォークフェスティバル2024」は2回目。
一回目は去年あるはずだったんだけど悪天候により中止。
そのイベントの告知から宣伝、走り回る主催者の姿を見てたから、自分のことのように悲しかった。
そう、そこに呼ばれてるわけでもないのに(笑)
今回はもしかしたら呼んでもらえるかも?なんて思いながらソワソワしていた。ドラフトにかかる前の選手、というよりは「トライアウトでなんとか拾ってもらいたい選手」のような気持ちで。
声をかけてもらった時は本当に嬉しかった。
大きなフェスが似合わないのは知っていたし、ネームバリュー?や経験値が好きないものわかってたけど、やっぱり嬉しかった。と同時にSNSで見かける「なうてのミュージシャンたち」のなかに入ってもいいのか?なんて思ったりしたこともあった。
でもね。そんなことを思うのは声をかけてくれた福岡ミュージック・エイドのみんなに失礼だよね。
とにかくお天気を信じて、15分、3曲に思いを込めた。
僕が作ってる「ちゅるっとサジー」の出店もできた。
ライブ以上に僕を悩ませたのは「出店しませんか?」というお誘い。
もちろんします!と二つ返事。
悩んだのはするしないではなく「どんなふうにするか?」
テーブルも椅子も貸してもらえるし、なんと日除けのテントまで!こんな上げ膳据え膳に甘えていいのか?
しかも周りは「公園でのイベント」にぴったりの手作りアクセサリーや服飾、主役とも言えるキッチンカー。
どんなふうにすれば「公園のイベントで健康食品売ってる」っていう変な感じを払拭できるかすごく考えた。
結果、できたブースがこれ。
まあ、可愛くできたんじゃないかな?
試食もしてもらえたし、ライブの合間にビラ配りもした(やればできる還暦前)
主催者のすごさをみんなはわかってるんだろうか?
自分もライブの主催を何回かやった。とはいってもお馴染みのライブバーで、おなじみの音楽家を呼ぶだけのイベント。それでも、ちゃんとみんなこれるかな?お客さんきてくれるかな?当日まで心配事ばっかりだった。
それが今回、こんなに大きな会場で、あちこちのスポンサーやさまざまな方面に掛け合い、ミュージシャンだけじゃなくキッチンカーやアート出店まで打ち合わせて…。
しかも去年は中止に追い込まれたリベンジ大会。
艦長:イイホシミチコ
副艦長&航海長:じゃにゅあり
副艦長&機関長:ナポリ
この三氏からなる福岡ミュージック・エイドの船は大海に揉まれながら荒波を乗り切った。
当日の朝からしか参加してないし、お手伝いらしいことはほぼできなかったし、雨に負けて早退までしてしまった僕としては面目ない。
この日、一番素晴らしい輝きと「フォーク魂」を見せてくれて、一番素晴らしい音楽を奏でたのはこの三名だった。
誰よりも覚悟と責任をもち、誰もの笑顔と叫びを支え走り回り、降りかかる難題をふっとばした。雨だってなんども押し戻した。
僕らは彼らが作り上げ、航海する船に乗りあわせ、ギターを鳴らして「いえい!」というだけだ。運ばれてきた食事を食べるだけだ。
もちろん全力で、全身全霊で食べ尽くし、歌ったのだけれど。
イベントの主催者はもっともっと報われていいと思う。
誰かが渡るための橋をかけ
誰かの心を揺るがす音を届ける準備をし
誰かのお腹を満たすご飯を届ける算段をし
誰かが日差しから逃れるためのひさしを作り
誰かが輝くための太陽になる
こんなこと、誰もができることじゃない。
歌を歌う前に、うたえる場所を作り、守る人たち
多くのライブバーが、そのマスターの献身によりなんとか生きながらえているという事実。
その前で僕らはあまりにも無力だという事実。
そしてまだまだ音楽は「音楽を嗜むもの」の中だけにとどまっている。
これは演奏する場所をストリートにすればいいっていう問題じゃない。
公園というパブリックスペースに、邪魔にならず寄り添う音楽を作れたらといつも思ってる(盛り上がらない歌ばっかりやってるくせに、だ)
音楽と音楽家の周りにある見えない塀をなくしたい。
音楽を普通のことにしたい。
ぼくはなんの力もなくそう思ってる。
福岡ミュージック・エイドの3人はいま精魂尽き果てていると思う。
まずはその体を休めて下さい。
そして自分たちの偉業をまず、自分たちで認めて下さい。
僕はこの船に乗れてとても幸せでした。
正面玄関を開けてくれてありがとう。
福岡の音楽(のはしくれじゃあるけど)をきちんとした椅子に座らせてくれてありがとう。
たくさんの古い友人に会うことができた。
初めましての人にも会えた。
SNSでしかしらなかった人に会えた。
はじめて歌を聴いてくれて「銀河の歌感動した」って言ってくれた人がいた。
なんとか生き延びてる先輩に会えた。
あいかわらず元気な先輩にも会えた。
震える歌も聞けた。
美味しいクッキーも買えた。
これ以上ない喜びの1日でした。
ありがとうございました。