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夏の工房で炎を眺める(26回/100回)

工房には空調が無いので毎日とても暑い。
それでも8月にもなると少しづつ暑さにも慣れてくる。


ステンレスを黒染めするために、バーナーで炙りながら薬品を塗りつけていく。

温度が低すぎると色が薄くなるし、高すぎると色が剥げてしまう。
個別に温度を測ることができないので、薬液を塗った時の「ジュッ!」という蒸発する音を頼りに仕上がりを予想する。

それを何度も繰り返し、狙った発色になったところで作業を止め、水で冷やす。


黒染めは勘や経験に頼る部分が大きいので、やってみないと分からない。
完成が予想できない作業は宝探しに似ていて単純に楽しい。


同じものづくりでも工業製品の場合は工程をガチガチに管理する。
反対に工芸の世界では経験や勘による作業が多く、ブレや揺らぎが生まれる余地がある。

製作をする際は、どちらの要素も取り入れたいと考えている。
きちんと管理して、安定した品質のものを作りつつ、手作りでブレを加えていく。
どちらの要素も欠かさずに、バランスを取って製品に落とし込んでいく。

それが自分の目指すものづくりだ。


夏の暑さと炎の熱気に耐えて想像していた以上のものができると、やりがいを感じる。

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サニーサイドスタジオ 高嶋洋和
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