ステンレスの風合いを引き出す「黒染め」という技法(24/100回)
ステンレスは名前の通り錆に強い素材です。
(stain=汚れ、さび less=〜無い)
そのため水回りのシンクや、調理用具に用いられますが屋外用看板にもぴったりの素材です。
アイアンの赤錆が出て経年変化していく様は趣があって素敵なのですが、雨晒しになる場所に設置する場合や、周りをサビで汚したくない場合はこの素材をお勧めしています。
ただステンレスは見た目が綺麗すぎるという特徴があります。
綺麗な雰囲気を活かしてクールな雰囲気を出した製品作りをすることもありますが、鉄や真鍮のような「風合い」が出しにくい素材です。
それに身近にある素材なので、キッチンの水回りのイメージが強く、名前の響きで選択肢から外れてしまこともあります。
サニーサイドスタジオではステンレスのサビに強いという特徴に「風合い」をプラスした「黒染め」という技法を用いた製品を作っています。
黒染めはステンレスを薬品で化学反応を起こし黒く変色させているので塗膜が薄く、アイアンのような素朴さがあります。
それに塗装のように劣化して剥がれることがないので、長く使って頂けます。
少し専門的な話になりますがステンレスの表面には不動態皮膜と呼ばれる膜があります。
これはステンレスの成分である「クロム」が大気中の酸素によって酸化されることで生成されます。
この膜により表面が保護されることでサビから身を守っているのです。
ただこの強い膜があることにより薬品も弾いてしまうので、普通に薬品をつけても黒くなりません。
その為表面処理により膜を剥がしたり、温度を変えることで反応を良くしたりと色々と工夫をしないといけません。
そこで炎を直接当て、温度を上げることで黒染めを促進させています。
炎の当て具合や、表面温度によって色の出方が大きく変わるので、色々と試行錯誤して発色を探ります。
一つ一つ手作業で行うので、全く同じ模様を出すことはできません。
発色や模様の出方を一つの個性として楽しんでいただけると思います。
今後も素材感を活かした製品づくりをしていきたいと思います。
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