自由に創ることは難しい(51/100回)
僕は平均点は取れるけれど、120点を取ることができない。
一つのことをじっくり観察して1番確実な方法はないかと考える。
だから大ハズレすることはないし、資格試験なんかも大体一発で通る。
ただじっくり慎重にやるせいで、あまり挑戦的なことはしてこなかった。
有り体に言えば堅実な人間なんだと思う。
僕は高校を卒業してから美術系の専門学校に進んだ。
美術系の学校に通う生徒は当然ながらアーティスト気質の人が多い。
学生の中でも才能あふれる人もいて、いつも突拍子のないものを創る。
当時の僕は自分をアートで表現するという価値観がイマイチ理解できなかった。
文章や言葉で表現すれば良いのに、わざわざオブジェや絵画で表現をする理由が見つけられなかった。
だから学校内では落ちこぼれだったと思うし、自由に創ることの難しさを痛感した。
僕のものづくりはひらめきや直感でものを作るのではなく、一つ一つロジックを組み立てていくスタイルだ。
縦横の比率や材料の厚み、全体のバランスから見え方までひとつひとつ積み上げて形にしていく。
だから決して120点は取れない。
今の仕事はお客さんの要望を形にすることが大前提になる。
特にオーダーメイドの場合は自分のものづくりのスタイルと相性が良い。
ヒアリングした要望をいかに綺麗な形にまとめるかが腕の見せ所だ。
決して自由な発想を活かした唯一無二の作品は作れない。
制約の中でいかに具体的な形にするか、どれだけ綺麗なものを作ることができるか。
僕は120点のアーティストにはなれないけど、1点づつ積み重ねていく職人でいたいと思う。
自分がしていることはとても堅実で地味な、それでいてやりがいのある仕事だ。
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