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モノづくり思った事、考えた事。

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サニーサイドスタジオとしてモノづくりをする中で考えたコトや、頭の中のコトを書いています。
運営しているクリエイター

#アイアン工房

「溶接を仕事にしたい」という相談を受けたので

今勤めている会社を辞め、溶接を仕事にして将来は独立したい。という20代の男性とお話をしました。 溶接の仕事は未経験だけど自分が好きだと思えるモノづくりの仕事がしたい。 組織に縛られたくないから独立をしたいけど、結婚ってできるの?と言った悩みを抱えていました。 異業種への転職というのはとても勇気が要ります。 一概に溶接の業界といっても年代や所属している会社によって待遇や給料面は大きく違います。 だから人の意見はあくまで一例であり、同じような待遇が得られるかどうかは、運や

職人の三つ子の魂

昔から人と何かを一緒にするのが苦手で、子供の頃は一人遊びばかりしていました。 2つ上の兄の幼馴染みが近所に住んでいて、兄が遊びに出る時は一緒に連れ出してもらっていました。 一人遊びばかりの弟を心配してというよりは、母親に言われて仕方なくといった感じだったけど、おかげで毎日退屈せずに済みました。 小学校の中学年にもなると、人付き合いもできる器用さも少しづつ身に付いて、放課後は同級生と暗くなるまでサッカーをしていました。 三つ子の魂百までじゃないけど、僕の性格というのは幼稚園

好きなことを仕事にするのと、仕事が好きだというのは似ているようで違う

好きなことを仕事にしていると自分のこだわりが出ます。 そのこだわりがお客さんのニーズとマッチすれば幸せなのですが、うまく行くことばかりではありません。 仕事では自分のこだわりをゴリ押しするだけではうまく行かないので、商売としてやる以上、相手のニーズに合わせて柔軟に対応することが大切です。 他方、仕事が好きというのは良いことも嫌なことも含めて好きということです。 お客のクレームを受けるのが好きという人はいませんが、相手を納得させる交渉が好きということはあると思います。 言い

鍛冶屋の祖父が作った奇妙な金槌が教えてくれること。

僕の工房には鍛冶屋の祖父が作った大きな金槌があります。 それは奇妙な形をしており、とても細長く、まるで突き出た猪の鼻のような形をしています。 とてもバランスが悪いので、祖父の真似をして大きく振りかぶると体がふらついてしまいます。 これを祖父は70になっても軽々と片手で扱っていました。 祖父はなぜこんな扱いにくい金槌を作ったのだろうとずっと不思議に思っていました。 鍛冶屋ならどんな形にでも自在に作れたはずなので、もっとバランスの良い金槌も作れたはずです。 でも作らなかった。