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真昼の月

きみが生まれると聞いたので
あたしは急いで生まれてきた

あんまり急いで生まれたから
うっかり
隣の国で あなたの明日に生まれてきた

冬の初めに生まれたきみとあたし

きみは
あたしと違う性で
あたしと違う顔で
あたしと違う背丈で
あたしと違う言葉で
あたしと違う暮らしで
あたしと似た荷物と暗がりを持っていた

どうしてだろう
寒くて暗いこの夜は
どこもかしこもあたたかいのだ
おおきな背中を伝う体温に
あたしは擦る事しか出来なかった
きみが隣で悩むから
あたしも隣で唸ってた
互いに腫れたまぶたは丸く
身体のどこよりもあたたかかった

すべてを照らす昼下がり
冬の匂いがした
見上げた青空に
穴が空いたような月がいた
陽の差す方に浮かぶ白い月は
あの夜だった

きみは真昼の月だ
日向の隣で夜を覚えてくれる
揃いの暗がりを手に提げて
青白い頬を吊り上げて
やさしいあの笑顔を浮かべるのだ

冬の初めに眠るきみとあたし
いつか春がやってきて
きみとあたしはあくびをする

微睡んだ瞳で 温かい掌で
きみとあたしで
おはようを交わそう

いつかの春  その時まで

おやすみ
잘자
おやすみ
잘자

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