【MTG】ニュースクールを語りたい
序文
皆さん、こんばんは。
今回は巷で話題……という程でもないですが、MTG界隈でポツポツ話題になっているらしい"ニュースクール"なるフォーマットの話です。
というのも、このフォーマット、筆者の世代すぎるんですよ!
ミラディン~イニストラードブロックのカードまで使用可能って、ほとんど私が始めた頃のモダンですし。
おまけに私が愛用していた【青白コントロール】もほぼフルパワーで使えるとか、そんなんやる気しかない!!!
そんなわけで、今回の記事はそんな"ニュースクール"の布教のため、多分あれ組めるよなーこんなデッキあったよなーという、デッキアイデア共有が半分、思い出話が半分みたいな内容となります。
何かの参考になれば、そして一人でも多くの人が"ニュースクール"に興味を持ってもらえれば幸いです。
トリコトラフト
まず、この時期のMTGを語る上では欠かせないデッキの話。
『イニストラード』ブロックで《聖トラフトの霊》《瞬唱の魔道士》《修復の天使》というクロックを得て完成した青白赤3色の芸術的なクロック・パーミッションデッキ。
それが、この【トリコトラフト】です。
この当時はまだジェスカイとかいう面白ハゲ集団いないですからね。そこ注意。
デッキの戦略自体は非常にシンプルで、実質呪禁6/6クロックである《聖トラフトの霊》の攻撃を通していくだけ。
ブロッカーは《稲妻》などでどかす……というか、そもそもこの時期のMTGはまだまだクリーチャーよりスペルの方が強い時代だったので、こんな2/2を雑にクリーチャー肉壁で封殺できないデッキの方が多かったんですよね。
なので、こいつの攻撃を2~3回通した後に《稲妻》や《稲妻のらせん》を《瞬唱の魔道士》でフラッシュバックして勝つという。
現代基準で考えるとホンマに大丈夫かってなるやつですが、当時はイケイケでした。
そして、このデッキはそのスペック以上に、青白赤というカラーリングやオールマイティな性能から、非常に人気のデッキだった印象があります。
大会に出ると大体このカラーリングのデッキがいるなーみたいな。
まぁ、それらのデッキは最終的に《聖トラフトの霊》が別のフィニッシャーに置き換わったり、戦略自体がコントロール寄りになったりもしたんですが、それはまた別の話。
感染
個人的に【感染】はもう少し後の時代に《強大化》などの強化パーツを得た頃のリストが一番印象深いので、ぶっちゃけフルパワーではないよなー感もあるんですが、キーパーツは残ってるので一応ピックアップ。
《ギタクシア派の調査》が使えるかどうかも地味に重要なところです。
デッキの内容としては《ぎらつかせのエルフ》などの感染能力持ちクリーチャーを緑の強化呪文でパワーアップさせ、毒10点を相手に叩きつけて勝つというもの。
アグロ戦略に近いですが、青が入っているのでクロック・パーミッション風に立ち回ることもでき、特に上手い人の使う【感染】とはあまりやりたくなかった記憶があります。
あと、たまにハチャメチャに強化された《貴族の教主》がぶん殴りに来たりね(笑)
アブザン
いわゆる"黒緑系"と呼ばれるハンデス→《タルモゴイフ》→《ヴェールのリリアナ》ムーブが特徴的なグッドスタッフデッキの亜種。
この時代なら基本的には赤を足した【ジャンド】一択なのですが、もし《血編み髪のエルフ》が禁止カード入りした場合、こっちも選択肢になるかと思いピックアップ。
本当は『タルキール覇王譚』で《包囲サイ》を手に入れてから環境入りするアーキタイプなんですがね。
そもそも"アブザン"って名称自体タルキール期からですし。
ただ、それらを抜きにしても、優秀な万能除去である《流刑への道》や(当時基準では)対処がしづらい《未練ある魂》など、比較的ロングゲームに強い構成となっているのは見逃せませんよね。
黒緑系ミラーが流行った時にはワンチャンあるかも……?
ちなみに《貴族の教主》《聖遺の騎士》パッケージを積んだ構築は一般的なものではないです。少なくとも筆者は知らない。
でも2ターン目《ヴェールのリリアナ》とか《聖遺の騎士》で《幽霊街》をシルバーバレットで持ってくるとか、普通に強くないですか?
ヴァラクート系
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》によるバーンダメージでの勝利を狙うデッキ。
達成手順は大きく分けて3つ。
①《風景の変容》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と山6枚以上を同時に場に出す
②雑にランパンで山を並べる
③《裂け目の突破》で《原始のタイタン》を投げる
一番メインの勝ち筋となるのは①で、特に、青を混ぜて《差し戻し》などで時間を稼ぎ、フィニッシュ手段を《風景の変容/Scapeshift》一本に絞ったタイプは【スケープシフト】と呼ばれることが多いです。
ただ、時代を追うにつれて、青を抜いて純粋なランプ戦略に寄せた【赤緑ヴァラクート】や……
《裂け目の突破》で《原始のタイタン》を投げることで土地サーチ能力を2回誘発させる=ヴァラクートと山を大量に場に出して勝つ【ブリーチスケープ】など、いろんな亜種デッキが生まれていきます。
どの形も一長一短でどれが一番良いデッキかは人や環境によりますが、個人的には青入りの【スケープシフト】が一番スマートで好きですね。
実質《風景の変容》の1枚コンボなのもグッドです。
余談ですが、このアーキタイプ、かなり初期の頃は《虹色の前兆》と合わせて【オーメンヴァラクート】と呼ばれていたりもしました。
……呼び名というか、歴史が深いアーキタイプですよね、ヴァラクート。
正直にわか知識すぎてヤバい。
なんか事実と違うこと言ってたらごめんなさい。
赤緑トロン
フェアデッキを多く握っていた筆者にとって嫌な思いでしかないアーキタイプなので、このデッキの解説は他の誰かにお任せします。
親和
信じられないかもしれませんが、筆者はそれなりに長くMTGをプレイし、それなりにショップ大会にも出ていたにも関わらず【親和】とマッチングした経験が一度もありません。
なんなら行きつけのショップで【親和】使いを見かけたことすらない。
なので、このデッキの解説も他の人にお任せします。
私が知ってるのは、基本セット2015発売後あたりに【ハサミ親和タルモバーン】とかいう謎デッキが勝ってたことぐらい()
……っていうか《オパールのモックス》抜き【親和】って、力不足な割にやたらメタられやすい印象なのだけど、そのへんどうなのだろう?
バーン
所感ですが【バーン】は『ラヴニカへの回帰』ブロックから『タルキール覇王譚』ブロックあたりで強化パーツをもらって一線級に上がった印象があります。
一例を挙げると《ボロスの魔除け》《頭蓋割り》《大歓楽の幻霊》《僧院の速槍》などなど……
なので、ニュースクールのカードプールだと若干力不足感が否めない印象なんですよね……
せめて《野生のナカティル》が1マナ域に採用できれば【ナカティルバーン】の形にはできるんですが……
ブルームーン
《血染めの月》《広がりゆく海》による土地ハメギミックを仕込んだ青赤のコントロールデッキ。
初出は『プロツアー 神々の軍勢』あたりでフィニッシャーも《波使い》だった気がするんですが、メインパーツは揃っているので組めなくもなさそうだなーと。
個人的には、このデッキが登場したあたりから《血染めの月》をケアするようなプレイングが急速に定着していった印象がありますね。
筆者も当時、ちょくちょく月ケアができず(あるいはうっかり忘れて)負けた記憶があります。
なお《血染めの月》によるハメを狙うデッキは他にも
・《抑制の場》《亡霊の牢獄》《神聖の力戦》などを採用した【赤白プリズン】
・《東屋のエルフ》《楽園の拡散》などから2t目土地破壊を狙う【赤緑ランデス】
などがありますが、いずれも友達を失くすタイプのデッキなので取り扱いには要注意。
白単ヘイトベアー
妨害要素や土地ハメ要素を重視した白単ビートダウンを【Death&Taxes】(通称:デスタク)と呼ぶようになってずいぶん経ちますが、この頃はまだ【ヘイトベアー】と呼ばれることの方が多かった気がします。
このデッキは《レオニンの裁き人》によるサーチ封じを軸としており、特に《幽霊街》は完全に《露天鉱床》と化していました。
他にも《流刑への道》の詫び土地がもらえなくなったり《霊気の薬瓶》で《セラの報復者》を早期に場に出したり……
まぁ、なんというか、使い手しか知らない小テクが多いイメージがありますね、このデッキは。
正直、パッと見だと強いデッキに見えないんですが、割と油断するとやられる相手なんですよねーこれ……
あと、うろ覚えですが、確かこの時期の【ヘイトベアー】は白緑型もあったはずです。
《貴族の教主》《クァーサルの群れ魔道士》《ガドック・ティーグ》《鷺群れのシガルダ》あたりが使えるのかな?
白単にすることにこだわりがなければ、こちらのタイプも一行の余地があるかと。
エターナルコマンド
《霊気の薬瓶》繋がりでこちらも紹介。
デッキ制作者は今でも現役バリバリMTGプロプレイヤーのヤソこと八十岡翔太氏。
プレイヤー選手権'12(今でいう世界選手権)で彼が持ち込んでプロ相手に無双したのがこちらのデッキです。
どういうデッキなのかというと、ゴールは《謎めいた命令》のバウンスモードで《永遠の証人》を使いまわしてプチロックを決める……というものだそうですが、どちらかというと《霊気の薬瓶》による奇襲を織り交ぜた青緑赤グッドスタッフという感じですね。
また、どうも《永遠の証人》《謎めいた命令》あたりでアドバンテージを稼げる関係で黒緑系に強いらしく、プレイヤー選手権で勝ち残れてたのもその手のデッキが多かったため……という話をどこかで聞いた気がしますが、真偽は不明です。
ついでに、このあとモダンで《死儀礼のシャーマン》が台頭したせいで環境に定着せず消えたデッキでもあるので、本当のデッキの強さも分からずじまいだったり。
ただ、このイベントの準決勝のヤソVSジョン・フィンケルの試合を見て【エターナルコマンド】を組みたいと思ったファンは絶対に多いと思うので、ニュースクールはもしかしたら【エターナルコマンド】を試す絶好の機会なのかもしれませんね。
※MTG公式チャンネルより引用
死の影
これは風の噂で聞いた話ですが、どうもニュースクールにはマナバーンルールが残っているので《死の影》を強化するための自傷がやりやすくなっているそうです。
考えた人、頭いいなぁ……
ただ、それを抜きにしても《死の影》のスペックが低いわけではないので、こういうデッキも組めなくはないと思います。
ていうか、デッキリスト普通に強そう……
番外編:欠片の双子
おそらく《欠片の双子》が禁止カード入りすると思うので使用不可能だとは思うんですが、それはそれとして、この時期のMTGのメタゲームを語る上では欠かせない存在なので、一応解説。
デッキコンセプトとしては《詐欺師の総督》or《やっかい児》+《欠片の双子》or《鏡割りのキキジキ》の2枚コンボで勝つというもの。
場に出た時に場のパーマネント1つをアンタップさせる前者と、タップ能力で場のクリーチャーのコピーを作る後者で無限トークンを生成するという、シンプルかつ強力なコンボとなっています。
おまけに、その奇襲性とコンボ要求値の低さから「コンボを決めると見せかけて別軸の勝ち手段を用いる」なんて芸当も可能で、終いには【タルモツイン】なる《タルモゴイフ》採用型【欠片の双子】デッキなんかもあったり……
そんな風に猛威を振るいまくったため、2016年に《欠片の双子》が禁止カードに指定されるまで、大多数のデッキがサイドデッキに【欠片の双子】対策を仕込まざるを得ませんでした。
例えば《欠片の双子》のエンチャント先を弄るための《呪文滑り》や、コンボパーツである《詐欺師の総督》を確実に除去するための《焼却》、登場時能力や起動型能力を咎める《倦怠の宝珠》《減衰のマトリックス》などなど……
なので、過去のデッキリストを漁ってニュースクールのデッキを組む際は、サイドボードがそのへんのデッキ意識でちょっと歪んでいる点に気を付けてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本当は紹介したいデッキも語りたい話もまだまだあるんですが、流石にいちいち当時のデッキレシピを掘り起こしてそれっぽく調整し直す作業に疲れたので、今回はこのへんで。
最後になりましたが、ニュースクール、非常に面白そうですよね。
私もこのためにわざわざ昔使っていた【青白コントロール】のパーツをうん万円かけて1から揃えなおしたので、今から回すのが楽しみです。
まだ細かいカードプールや禁止カードリストなど定まっていない状況らしいですが、ゆくゆくはショップ大会が開かれるように……なったらいいなぁ。
そんなわけで、今回はこのへんで。
それでは、また。