[詩]就職活動の散文詩
頑張ったことはなんですか?
バカなことを聞く
頑張ってないことなんてあるか?
叱られたことさえ
懐かしい
合唱コンクールで3年間
優勝したことです
元来目立ちたがり屋で
ピアノの演奏者に立候補したけど
実力不足で
生涯忘れられない苦い思い出になりました
何を言ってるんだろう
ワザワザと心が動く
ですが合唱曲はどれも素晴らしく
一番好きな曲は
小学校時代にに戻るのですが
さよなら友よです
冷静に考えて
6年も生活を共にした学友と
一旦区切りをつけるのは
寂しさを覚えるものです
免許合宿です
自分は人並みに
なんでもこなせると思ってきました
徐々に
明るみになってきました
面接官はさすがに表情は変えない
今この瞬間です
初めて人生で挫折を覚えています
大人になるって
何かいいことがあるのかな
と感じています
それは君は見つけられたの?
本当にこんな会話をしたのかは
想像にお任せするが
闇に溶けることが
できるようになったことですかね
できるようになったの?
できないかもしれません
だけどそこまでお話しすることはこの場ではできません
また1週間後に連絡します
はいありがとうございます
とうてい連絡が来ないことはわかっているから
ここぞとばかりに地声の低い声が響く
自己紹介の時は
あんなに上擦っていたのに
後日書面で内定という文字を受ける
その会社の評判をもう一度調べる
まるで気持ちが上がらない
だから牛丼を食べに行く
卵をかけるとたまらなく
幸せを感じるんだよな
アイスも買って帰ろう
夏も佳境だ
腹の肉はたまっていくばかりだ
数年前は食べても太らないことを
友人に自慢していたのに
ゴムの跡がついた髪を触り
鏡の前でコンタクトを外す
明日は天丼を食べようかな
別に食べなくてもいいんだけど
本当に別においしいんだよな
面接も入ってないし
そのあとスポーツ番組でも見よう
内定の返事はいつまでなのかな
明日はTシャツを着るけど
外から夕刻の晩夏の蝉の音が聞こえる
それでもスーツを着ている自分をウィンドウ越しに見かけると
案外
悪くないんだ