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You can do it!
今頃,小学2年生は,かけ算九九の学習を終え,まとめに入った頃でしょうか。2年生の算数の要は,何と言っても,かけ算九九の習得です。
1あたりの数×いくつ分=ぜんぶの数という,かけ算の意味を理解しながら,1の段から9の段まで言えるように練習します。九九の歌を歌ったり,家庭学習にも取り入れたり,じっくりと時間をかけてマスターしていきます。
小規模校に勤務していたときは,どの先生でも良いから,九九を唱えて合格シールをもらうという,学校挙げての取り組みがありました。九九のシーズンになると,九九カードを持った子ども達で,職員室がにぎやかになりました。
さて,教員になって2年目のことです。算数で九九の学習が始まりました。各段上がり九九,下がり九九,ランダム,そして1~9の段の上がり九九を通しで唱えることができたら,九九名人です。合格第1号が出ると,触発されて,次々と合格していきました。けれども,何度トライしてもできない子が,どのクラスにも数名はいるものです。
ほとんどの子が合格するなか,3月になり,修了式を迎えても,1人だけ合格できないSさんがいました。頑張っているのですが,7の段がスムーズに出てきません。全員合格で3年生へ進級するのは無理かもと思い始めました。
3月31日,離任式があり,子ども達が登校してきました。Sさんが私のところに来て,「おねがいします」と九九カードを手渡しました。
「いんいちがいち,いんにがに…」
と唱え始めました。
「くはしちじゅうに,くくはちじゅういち」
少し時間はかかりましたが,最後まで唱えることができました。
「できたね!できたー!」
私は思わず,Sさんの手を取っていました。
「良かったね,Sちゃん」
「Sちゃん,おめでとう」
クラスメートも駆け寄り,祝福してくれます。
Sさんも嬉しそうに,にっこりと笑みを浮かべます。
そして,少し間をおいてから、
「せんせい,ありがとう」
と言いました。
こんなにも嬉しく,心に沁みる「ありがとう」は初めてでした。
正直なところ,Sさんが九九をマスターするのは難しいかなと思っていました。けれども,Sさんはあきらめなかった。2年生最後の登校日,ついに言えるようになったのです。
子どもが困難に直面したとき,
「あなたならきっとできると思うよ」
とポジティブな言葉をかけてあげる先生でいたいと思いました。
子どもの可能性は無限大
子どもを信じることは,明るい未来を信じることだから