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デザイン考察:ローソンの新しいパッケージが炎上したのは誰のせいなのか?

こんばんは
Sunnyです。


今日もさっそくやっていきましょう
「ローソンの新しいパッケージが炎上したのは誰のせいなのか?」



事の発端

大手コンビニエンスストアであるローソンが、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィス「nendo(ネンド)」をクリエイティブパートナーにし
デザインをリニューアルしたことが事の発端です。

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こんな風に、かわいく、風景になじむデザインをパッケージに採用しました。

これが今賛否両論の大きい風を起こしています。



そもそも

このデザインのリニューアルがなぜ起こったかを考察すると、いわゆる

「コンビニエンスストアの安くてそこそこ、ただし主張が激しい」

といういわゆる、見た目におけるコンビニっぽさを排除したいという思いがあったんだと思うんすよね。

高級ブランドは一般的に、静かな色、余白たっぷりというビジュアルを演出することが多く、その逆に安いブランドはがちゃがちゃとして詰め込むというデザインが多いと思います。
(ここで他のデザインは画像として引き合いに出しません)

コンビニエンスストアも同様です。
商品数も多く、それぞれを打ち出したいために、個々の色を強くしてしまう。
結果として、コンビニエンスストアの棚では良いものの、家に持ち帰った時に違和感があると。

「生活に寄り添うことが出来てないのでは」という仮説に基づき、今までのファストフード的な「早くて、便利で、でも一時的」というコンビニエンスストアからの脱却として、「ゆっくりと、溶け込む、ずっと寄り添う」という生活に密着したお店としてかじ取りをしたかったのだと思います。

だから、佐藤オオキ氏のデザイン理論とマッチングして、打ち出したのだと思います。軸もしっかりあってシンプルだけど強い打ち出し方だと思います。



なぜ炎上しているか

じゃあ、なぜ炎上しているのか。
まぁ、これもTwitterだけ説もありますが。

これは単純に見づらいから、という理由ですね。
何が何の製品かがわからず、見間違え/買い間違えてしまう、と。

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なぜ見間違うかは「情報量が均一すぎる」からだと思います。

で、上の話を絡めると、他のコンビニエンスストアと同じような客層(従来のターゲット)が、他のコンビニエンスストアと同じように買ってしまうから。だと思います。

でも、ローソンが今回目指した姿は、そういう従来のコンビニらしいパッケージではなく、生活に溶け込む/なじむデザインだったのです。

ターゲットと、プロダクトに差があるから、炎上しているのです。「見づらい!改悪だ!」と。

でも少し幅広く見ると、インスタグラムでは「おしゃれになった、可愛い、なじんでいて良い」という意見が多いそうですね。

だから一部に対しては、ローソンのやり方は刺さっているのです。
佐藤オオキ氏は刺さっているのです。



考察

ローソンからすると、ローソンが打ち出した「新しいコンビニエンスストアの形」=「生活に溶け込むデザイン」を表現してくれる佐藤オオキ氏が適任だったのです。

だから、これに対して、デザイナーは「誰にでも見やすいようにすべき」という批判はすこしずれていると思っていて
優秀なデザイナーは個を必ず出すし、出すべきだと思うのです。

誰でも出来るようなデザインをするなら、わざわざ佐藤オオキ氏に頼む必要がなくて、やりたいことがあるからそれを表現できる佐藤オオキ氏に依頼したと。

だから佐藤オオキ氏は問題ではないと思います。


優秀なデザイナーはユニバーサルであるべきという考えは非常に危険な考えかただと感じます。
それは世の中にある個性が消えることにつながりかねないのではないかと。

見づらいけどいいデザインはあると僕は思います。
そして、今回が良かったかどうかは、企業の「売り上げ」にどのくらい通じたのかに依存してしまうと思うのです。資本主義のこの世の中で

企業の基本理念は、「企業がいいと思うもので、世界に還元し、売り上げること」だと思うので、それに見合うかどうかが今後の話だと思います。

(なお、Sunnyはユニバーサルであるべきだと個人として思っています。ただ、そうじゃないデザインに対しても寛容的でありたいと思っています。)



誰のせい?

いろいろ調べる前は、企業理念の暴走で、有名なデザイナーに任せとけばおけやろ!っていう上層部の問題かなぁと思っていたんですが

調べてみると、そもそも企業がそういう路線(佐藤オオキ氏のような)に振りたい、そして新しい価値観を提示したいというローソンの想いが見えたので、「ああ、この問題は誰のせいでもないんだな」と思いました。

この手の時に話題に上がるのは

・デザイナー
・企業
・ユーザー

の3つが議論になると思うのですが、そのどの3つもが悪くないんだなぁと。
少なくともニーズにマッチしている層がある時点で、このリニューアルは成功だったと。

ただ、一般ユーザーにとってはギャップがあるためにクレームにつながってしまう。

つまるところ、マッチングなんだろうなと。今までセブンイレブンかローソンかの明確な差がなかったものを、どんどん出している状況だと思うので、その材料になったんだろうな。



まとめ

今回のローソンのデザインリニューアルは、新しいコンビニエンスストアの在り方を提示するものであった。

今までは「ファーストフード」のような早く安くという考えから、「生活に溶け込む」ゆっくりとしたデザインにかじ取りをしたかった

コンビニエンスストア=ほしいものをぱっと買う、からコンビニエンスストア=ゆっくり吟味して買う、への新しい価値観の提供をしたかった。

狙い通りの結果を得た一部は成功し、一部は失敗した。

この炎上問題は誰のせいでもなく、マッチングするための材料になった。

デザイナーは、個を出すべき。ユニバーサルでもある必要はあるが、強要することへのリスクは持つべきである。


つまり、今後はどんどん企業戦略が表に出ていって、ユーザーが選ぶようになる。企業の姿勢も問われていくんだろうな。
ユーザーはどんどん選ぶようになるんだなと。




最初は、こうあるべき!という感じで批判的に記事書こうとしたんですけど、ああ、これ誰のせいでもねえなって思ったので、ユーザーとして今後求められる姿勢や会社の在り方的な話をしました。

デザインの話もしましたが、なんか難しい話題だと再認識しました。

このへんは少し考えていきたいですね。

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Sui Works
札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。