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姫事絶対値には時間がない

はじめに

2018年の夏、ヤなことそっとミュートというグループの存在をきっかけに、地下アイドルの世界の門を俺は叩いた。

それから6年もの年月が過ぎた。
そのヤナミューは一昨年の夏に活動を終えてしまったし、盟友と呼べるような近しいグループも、多くがこの数年でその歩みを止めてしまった。
数年前にヤナミューとよく対バンしていたグループの中で、現在も活動を続けているグループとして挙げられるのは本当に片手で数えられる程ではないだろうか。

そんな中、2017年5月7日から1人のメンバーチェンジもなく、その歩みを止める事なく活動しているグループが、姫事絶対値である。

姫事絶対値の決意表明

2023年の9月、グループからはこんな発表があった。

姫事絶対値の公式Xより


要約すると、2024年からの2年間、グループのみの収入で生活ができるように本気の活動を始める。
酷な言い方をすればグループとしての余命宣告に近い。しかしこの2年で目標が達成されなかったとしても、グループの活動はその後も緩やかに続いていくのは確約されるという事だった。

今年の3月まで、メンバーのまみむめももえはタピオカ屋「春水堂」の正社員としてライブの日以外はフルタイムで働き(グループとしての活動を軸にする為、副業OKの会社を選んだと云うのだから懸ける熱意は本物だ)、雪幸ユイは家庭の事情で一昨年からは仙台に移り住み、平日は働きつつ週末のみ上京してのライブ参加というハードなスケジュールをそれぞれこなしていた。

まみむめももえのXより

しかし、今年の4月から、まみむめももえは姫事の活動を第一に考えた結果、店舗から本社勤務で広報部署へと移り(本来は姫事の活動を第一に出来る他社に転職をする予定だったが、会社から引き留められた結果このポジションに落ち着いたとのこと)、雪幸ユイは再び東京へと移り住み、常にライブへの参加が可能となった。

グループにとってはこの7年間で多くの困難があった。
自分が通い始める前の話なので当時のオタクから聞いた話だが、2019年にゆうら、一ノ瀬恵麻の2人が精神的な持病のため、グループを一時的に離れたことがあった。特にゆうらちゃんの持病の発作は酷く、本当にグループを脱退してもおかしくないレベルの危機だったと聞く。
しかし、それでも2人は戻ってきた。

ゆっきの東北移住も、普通であればグループを卒業してもおかしくないレベルの話だ。しかし、週末だけの活動となっても歩みを止めることなく2年間続けて、現状の5人全員での活動が再びできるようになった。

アイドルという存在の寿命は一瞬である。
誤解を恐れずに言えば、アイドル活動というのは若さの切り売りだ。ハタチ前後の若い女の子にとっての1年というのはあっという間だし、一般的な友人や恋人と過ごすような青春を犠牲にした上で成り立っている物である。当然、それらを犠牲にする事が出来ず、アイドル活動から脱落してしまう女の子は多くいるだろう。
また、知り合いでも無い状態から集められた女の子同士、上手くいかないところも多いだろう。
1年も持たずに消えていくグループ、メンバーもなんら珍しくない。メンバーチェンジが有ったとしても活動開始から2年も持てば御の字だ。

それでも他に類を見ないほどに各メンバー同士、運営の仲の良さ、圧倒的な居心地の良さが、姫事絶対値が長く続いている要因になっていると思う。
余談だが、姫事絶対値たちMcDog Worksに所属するアイドルの共有ルールとして「個人同士の連絡は禁止、例えば遊びに誘う等どんな個人的な内容でもグループLINEで連絡する」という物があり、隠し事をしない事がメンバー間の結束に繋がっているのだという。

7周年記念ワンマンライブ

5月5日に行われた7周年ライブは本当に最高だった。2時間近くの長尺のライブとなったが、あまりにもあっという間だった。素晴らしいライブ特有の、あまりに内容が良すぎて記憶が無いという境地へ久々に達することができた。


中でも白眉だったのは代表曲の「Repeat negative morning」だろう。

手を握りますか 私記憶に残りますか
また『会いたい』と思いますかって口塞ぐ
声聞こえますか 私記憶に残りますか  
また『会いたい』と思いますかって聞く勇気はない…

「Repeat negative morning」

「君のLIVE IDOL」というコンセプトをそのまま表した代表曲だが、あまりの感動にイントロから嗚咽して泣き崩れてしまった。
自分は涙脆い方なので、ライブでは割とすぐに感動して涙ぐむが、嗚咽するほどに感動したライブというのは本当に人生で数えるほどしかない。おそらくこの日の事を一生忘れる事は無いと思う。

ゆうらちゃんは事あるごとに「一生姫事を続ける」「最低でも40歳ぐらいまではやりたい」と話しているが、この言葉に嘘偽りは無いし、仮に2年後の目標へ辿り着けなかったとしても、たとえ緩やかなペースだとしても、グループはいつまでも活動を続けていけると信じている。
彼女はこのリピネガという曲について「いつか売れたらこの曲が唄われなくなるかもしれないと過去に言われたけど、なんだかんだで今でも唄ってる」なんて事を話していたが、もし姫事が俺たちの手が届かないぐらい売れたとしても、この曲だけは「君のLIVE IDOL」として絶対に一生唄い続けてほしいと思う。

最後に


今回の記事のタイトルは、自分が中学時代から大好きなバンド、LUNKHEADの「僕たちには時間がない」という曲のタイトルから引用させていただいた。
「生」をテーマにした切迫感のある歌詞を多く唄うバンドだが、その激情的な歌詞があまりにも姫事にマッチしているような気がしたからだ。

僕たちには時間がない
生き急げ 欲しがれ 欲張れ
嘆いている時間はない
立ち上がれ 生きてるうちに

目の前にはすべてがある
手を伸ばせ 欲しがれ 欲張れ
僕たちには時間がない
生き急げ 生きてるうちに

LUNKHEAD「僕たちには時間がない」


姫事絶対値も俺たちも、2年間全力で生き急ごうぜ!
まだまだこれから楽しませてくれること、色々な場所へ連れていってくれ、新たな景色を見せてくれることを期待しています。

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