スタートアップにおける装置オペレーターにやりがいを感じる理由 後藤・賀島 エンジニア
装置を正しく稼働させるための操作・設定・監視・メンテナンスなどを担当する機械オペレーターの仕事。スタートアップであるSUN METALONでは、パートや派遣のメンバーのマネジメントや、実験の検証の役割も担います。オペレーターとして奮闘するエンジニア(Engineer)の後藤真志さんと賀島尚俊さんに、仕事のやりがいや難しさなどを聞きました。
強い責任感をもち、安全性をより意識するように
当社ではどんなお仕事をされていますか。
後藤
実験室チームの実験機オペレーターとして、研究開発(R&D)に携わっています。
自社開発中の装置を扱い、顧客企業から依頼があった実験や、その進行管理を担っています。私は主に金属積層造形装置を担当しています。
オペレーターチームは私たち社員2人のほかに、6人のパート・派遣メンバーがいます。毎日の実験の指示出しやスケジュール管理などマネジメントのかたわら、実験手順に危ない工程が含まれていないかの確認など、指示前の実験の検証もします。
賀島
基本的な仕事内容は後藤さんと同じで、顧客企業の希望条件で、想定している実験ができるかどうかを検証します。私は主に金属リサイクル装置を担当しています。
当社で開発した装置に初めて触るのが私たちなので、扱いづらい点などについてフィードバックし、次期開発に生かしてもらうのも重要な役目です。顧客の生産現場に出向いて、装置の使い方をレクチャーすることもあります。 実験の進行管理はどのように進めるのですか。
後藤
実験室チームのメンバーでおおまかにこういう実験をしたいと合意を取ったうえで、1日の始めに賀島さんと相談して、パートさんたちに依頼する当日の実験内容を決めます。
賀島
私は他の人をマネジメントするのは初めてです。当社では私が決めたことがほかの人の作業の安全性に直接影響するので、安全性をこれまでよりも強く意識するようになりました。以前よりも責任感を強く感じます。
後藤
過去の職場でも、安全を守るための多くのルールや仕組みがあり、上司からも口酸っぱくいわれてきました。それらの仕組みの多くは過去に発生したトラブルへの対策としてつくられています。
SUN METALONでは誰もが初めて行う作業や実験が多く、初めてとはいえ事故を起こすわけにはいきません。自分だけではなく、誰もが何が起きるかわからないことに取り組むのは私も初めてです。
このため専門的な知識があるほかのメンバーとも相談しながら、まず最初は自分でやってみて、安全だと確認できた作業からパートさんたちにお願いするようにしています。
カレンダー通りの休日取得でプライベートも充実
これまでのご経歴と、当社に転職された経緯をお聞かせください。
後藤
食品メーカーに13年間務め、パスタを作る工場の製造現場で設備保全、新ラインの立ち上げ、パートスタッフのマネジメントなどを経験しました。
当社には2023年の春に入社しました。ひとつは自分のため、もうひとつは家族のためです。
前職の大手製造業の工場は24時間、土日休みもなく稼働し続けます。年末年始などの連休もほぼありません。工場でのシフト勤務を続けていると、家族と休みが合いませんでした。
ちょうど当社に入社する時期に子供が生まれる予定だったこともあり、最低限、土日祝日は家族と一緒にいられる時間を作りたいと考えました。当社はカレンダー通り休めるので、メリハリをつけて働けるようになりました。
前職で13年間オペレーターとして働いて、自分の業務範囲内でできることはほぼやり切ったと感じたことも理由のひとつです。もともと機械を触ることが好きでした。最先端の装置を開発している当社で、誰も動かしたことがない装置を扱い、もっと自分のスキルを上げたかったのです。
自分の好きなことを仕事としてできて、かつ働きやすくなりプライベートも充実しています。社員の皆さんは仕事優先などといわず、家族も大事にしていいよというスタンスでいてくれているので働きやすく、ありがたいです。
賀島
私が当社に入社したのは後藤さんの1年後の2024年春です。日本の最大手アルミニウム製造メーカーで鋳造オペレーターとして8年間勤務し、アルミの溶解ラインを担当していました。
後藤さんと同じく、土日も関係なく、加えて夜勤もあるシフト制でした。これを一生続けるのはしんどいなと思い、8年間勤務した後で製造業から離れ、酒屋などの運送業で働いてきました。ずっと工場勤務だったので、外の世界を見てみたいとも考えました。
運送業界で8年間働いたころ、転職メディアで当社の採用担当者からスカウトをもらい、また製造業で働きたい、斬新な技術に関わりたいという思いが芽生えました。工業高校在籍時から機械を専門に扱ってきたので、これまでの経験を生かせそうだとも考えました。
マニュアルのない未知の実験の毎日
お二人とも、過去にも別の製造業の会社でオペレーターとして働かれていました。当社との違いには何がありますか。
後藤
過去に所属した会社では、1日あたりにいくつの製品を作ろう、この工程を何周回そうというスケジュールがきっちりと決まっていました。
当社では、同じオペレーターといっても実際にしている仕事は研究開発に近く、まだ誰もしたことがない実験に挑戦することも多いです。
このため想定通りにいかないこともしばしばです。1回で終わるはずだった実験がうまくいかず、何十回も条件を変えて繰り返してみることもあります。
納期が決まっており、どんな実験結果になるか見通せない中でスケジュールを組んで進めていく難しさがあります。とりあえずやってみよう、ダメだった、それなら…と、毎日が試行錯誤の繰り返しです。
賀島
以前の職場では、オペレーターは作業手順書(マニュアル)に従って仕事をしていました。おそらくそれが一般的なオペレーターの働き方かと思います。ところがスタートアップである当社では、そもそも作業手順書がありません。
後藤
ただ、多くのエンジニアメンバーのおかげで、研究開発をスムーズに進めるための仕組み化が徐々に進んでいます。もともと実験の手順は口頭で、ホワイトボードで伝達することが多かったところ、最近作業手順を明確にするための作業標準書ができて、よりミスなく仕事を進めやすくなりました。
賀島
ただ、実験スケジュールや異常が起きたときの対処法など、まだ文章に落とし込めていない情報も残っています。今のところは機械を直接扱う人が限られているのでなんとか回っています。今後は細かな作業手順書を私たちが作っていかなくてはいけないですね。
刺激的な環境で、最前線で最新の装置を扱える
オペレーターとして働く上での当社の魅力にはどんなことがありますか。
賀島
新しい装置を一番最初に触れるのが魅力ですね。先述の通り実験を始めるときには何が起こるかわからないので、顧客企業ごとの担当者とすり合わせた作業内容をパートさんたちに伝えて、うまく納期に間に合うように進めることができた時はうれしいです。
まだ30人規模の会社なので、あちこちから情報を得ることができるのもうれしいです。
大企業にいたときは、自分が所属しているチーム内で情報のやりとりが完結してしまい、自分の業務の目的や位置づけもしっかりとは把握できていなかった。
でも今はどこで誰が何をしているのか見えやすく、わからないことがあればチームの垣根を越えて質問することもできます。毎日が刺激的で、成長できます。製造業の中でも事業の独自性が高く、新鮮なことが多いので、いろんな意味でチャレンジできる体制です。
後藤
いろんなバックグラウンドの人がいるので、いい刺激になりますよね。
知識が豊富な方も多いので、毎日知らなかった情報を知り、覚えることができています。毎日勉強しているという感覚です。この年齢になっても毎日新しいことを学べる職場ばかりではないと思うので、いい環境で働けているなと思います。
今年9月からは、実験室メンバーの毎朝の朝礼時に5分程度のワンポイントレッスン会を開催しています。取り上げるのは安全上の注意点や装置や工具の扱い方など実験室メンバーの実務に関わる内容で、主に賀島さん、堀内さんと私の3人で空き時間に資料を準備し、発表者を回しています。
専門的な情報や知見をパートさんたちも含めてメンバー間で共有する場をつくりたいねと、実験室メンバーで1年以上前から話していました。1時間程度の勉強会を実施してみましたが、資料作りにかなり時間と手間がかかってしまい、月に一度の開催で精一杯でした。
そこで、パワポ1枚にまとめられる程度の情報で3人持ち回りで毎日続けていこうと決めました。準備の手間を大幅に削減したおかげで、今のところほぼ毎日続けられています。
発表資料はSlackでも共有し、情報を蓄積しています。知見を共有できることに加えて、資料を作るときにも改めて学び直すことができるので、いい機会になっています。
誰も触ったことのない新しい装置、やったことがない実験を最前線で、自分の手で手がけることができるので、それが楽しくもあり、難しくもあります。1日の時間のスピードが早く感じます。毎日飽きません。
SUN METALONでは、一緒に働いてくださる方を募集中です!