「黒い瞳」になりたくて
いつも空想の世界に住んでいたボク
よく絵本や物語を読んでは
登場キャラになりきって自由に
その世界に入り込む
元々物語に登場するキャラになり切ったり
新しいキャラを考えたり‥‥
そうすることで現実では味わえない
不思議な体験をすることで
勇気や希望が湧いてくる
その子はボクと同じ
周りとは違う異質な存在‥‥
みんなは赤く綺麗なドレスを身に纏い
美しく優雅に舞っている
ボクはといえば漆黒の上下で
みんなと違って足は速いけれど
舞うことは苦手
そのせいでボクは
自分に自信が持てず
いつも一人きりでいた
あるとき周りの子たちは
突然起こった厄災に
為す術もなく姿を消してしまった‥‥
厄災から逃れる能力に恵まれていた
ボクだけが残ってしまい‥‥
途方に暮れてしまう
ボクは悲しみの中
新たな仲間を求めて
当てのない旅に出た
暗い世界を彷徨い
一人ぼっちで孤独に苛まれながら
寂しくて怖くて‥‥
涙が出ることも一度や二度じゃなかった
それでも陽の光が差す日は
今まで見たこともない
美しい世界が広がっていた
キラキラと光輝く風景
会ったこともない不思議な生き物
すごく元気をもらった気がした
そんな旅を続けていた時
ついに仲間を見つけることができた
かつての仲間のように
赤いドレスを身に纏った綺麗な容姿‥‥
勇気を出して話しかけてみるけれど
みんなは表に出ることをためらう‥‥
自分たちには「外の世界に出る勇気はない」という
ボクは何とかして
みんなと光あふれる世界に出られるよう
今までの旅で体験した
知識と経験をみんなに教えた
そうしてみんなと考え
工夫してお互いを信じて協力し
ボクと仲間はようやく光り輝く世界で
仲良く暮らせるようになりました
そう‥‥
これはボクが幼いころ
何度も何度も読み返した物語‥‥
仲間とは違う黒い容姿
それでも知恵と勇気で新たな仲間を見つけ
創意工夫で仲間と共に困難に立ち向かう‥‥
自分と仲間の生きる道を切り開いた
「スイミー」という勇者のお話
ボクもこの勇者のように
仲間を見つけて光り輝く世界で
暮らすことができるだろうか？
ボクがずっとなりたかった
「黒い瞳」の勇者のように‥‥
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