シャカシャカの大域手筋の話
この問題についての解説。
なお、作問者による解説が既に存在するが、それとは別の解法となる。
用語
いくつかの用語を紹介する。
壁
以下の記事で導入される用語。
マスの辺であって、斜めの長方形の内部に含まれる辺以外の辺を指す。
◯記号
以下の記事で導入される用語。
斜めの長方形の最小単位となる面積2の斜め正方形の中心を指す。
壁でない辺のいずれかの端点は◯になることに注意。
3マス空きの壁に挟まれた空間について
序論・壁に囲まれた3×3の空間の場合
以下のような領域を考える。
ただし実線は壁(それ以外の外周についてはどちらでも構わない)。このとき三角形の置き方は回転・鏡映を除き以下の3通りのみ。
ここで以下のマスに注目すると、緑色と黄色のマスにそれぞれ入る三角形の個数の合計は等しいことがわかる。
以下、他の領域でも同様の考え方を用いていく。
2×3の領域の場合
以下のような領域を考える。
このとき同様に三角形の置き方を列挙すると以下のようになる。
ということでこの場合も以下の緑色と黄色のマスにそれぞれ入る三角形の個数の合計は等しいことがわかる。
2×2の領域の場合
下図より容易に分かるように、緑色と黄色のマスにそれぞれ入る三角形の個数は等しい。
大域手筋を用いた解法①
ここまでの考察で以下の問題は解ける。
盤面を以下のように塗り分ける。
ここで前節までの議論より、緑色と黄色のマスにそれぞれ入る三角形の個数は等しい。緑色のマスに隣接する表出の合計は46、黄色のマスに隣接する表出の合計は49であるから、中央のマスにはその差の3が入る。
大域手筋を用いた解法②
この手筋を冒頭の問題に用いることを考える。
すぐに進む箇所を埋める。
ここで上辺の1は軽い先読みとL字禁による。
さらにこの盤面を以下のように塗り分ける。
ここで緑色と黄色のマスに入る三角形の個数の合計はいずれも11である。また、中央の3×5の領域以外では緑色と黄色のマスに入る三角形の個数の合計が同数になるから、中央の領域のみが問題となる。
3×5の領域の場合
そこで、以下のような3×5の領域を考える。
ここで赤く示した辺がいずれも壁でない仮定する。
このとき、◯の配置が鏡映を除いて確定するから、三角形の配置が以下のようになる。
しかし緑色と黄色のマスに入る三角形の個数の合計は同数にならなければいけなかったから、これは不適。
ゆえに上で見た辺のいずれかは壁。対称性より右が壁とする。
このときこの壁で領域を左右に分割することで、上図において緑色と黄色のマスに入る三角形の個数の合計が等しくなることがわかる。
ところが中央の緑色のマスを除いた色付きのマスについても同様のことが成り立っていたので、中央は白マスになる。
この白マスと壁の絡みにより、この領域の全体が白マスになることがわかる。
これを元の盤面に適用すれば以下が決まる。
残りは容易なので省略。