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あなたも走れる砂漠レース【本編】

なんだかもう、世界中がサウナになってしまったかのような暑さと湿気ですよね。夏ってこんなでしたっけ? ゴビ砂漠出発までのカウントダウンラン13日目の今朝も早起きして走りましたが、空気も身体も重くて、なかなか前に進みませんでした。はい、でも前進あるのみです。

さて、今日は砂漠レースについて「本編」です。本編とあるように、通常「砂漠レース」といえばこういう大会、というものをご紹介します。

まず、砂漠レースの基本はステージレースであること。160km、250km、はたまた300kmくらいの長い道のりを、一週間ほどかけて走破します。途中の寝泊まりは、多くの場合は主催側が準備するテントの中に、それぞれが用意した寝袋で寝るパターンです。お風呂やシャワーはレース中は利用できず水浴びで済ませます。トイレは簡易的なものが用意される場合もありますが、臭いのでテントエリアからしばらく離れた適当な場所を見つけて青空トイレをするのも有りです。

食事も、多くの場合は持参します。食事の際に暖かいお湯がもらえるというレースもありますが、無い場合は固形燃料や調理用具なども持ち込みます。着火用のライターなどが飛行場で没収されたとかすると、シャレにならなかったりします。

レース中にインターネットにつながるような場所はほとんどなく、キャンプ地の事務局で回線を拝借するか、個人で何等かの端末を持っていくか、多くの場合レース前後はオフラインで過ごします。オフラインでもスマホで写真や動画は取れますが、砂漠の砂はとても細かいので注意が必要です。

食べ物は以前も書いた通りフリーズドライ食品を持ち込むのが一般的です。お湯や水で溶いたオートミールのようなものやふやけたパスタを主食にする西洋人もいれば、アジア系はアルファ米を主体にソース状のものをぶっかけて食べたりなどします。重要なポイントは、いかに軽量化するかです。砂漠レースの多くは、食糧を自分自身で背負って走りますので。

砂漠レースには持ち物の重量制限(上限も加減も)があり、レース開始前に測定が入ります。エマージェンシーシートやポイズンリムーバーなど、通常の生活では見たこともない器具も、砂漠レースの必需品です。あとはコンパスやヘッドライトなども。ヘッドライトが必要なのは、砂漠レースの多くに「オーバーナイトステージ」という長距離コースの設定があり、よほど早いランナーでなければ夜中や翌朝の到着となるためです。

さて、こんな感じが基本の砂漠レースですが、実際にどんなレースがあるのかざっと並べてみます。

サハラマラソン Marathon des Sables

https://www.marathondessables.com/en

レース距離&期間:250km 7日間
開催場所:サハラ砂漠(モロッコ ワルザザート)
開催時期&気温:4月、14~30度
荷物:食事や寝袋を含むすべてを携行
エントリー費用:3,170€
参加人数:約1,200人
歴史:1986年開始、2020年は第35回大会

大会の特長:
砂漠レースの登竜門。コースは起伏有り、オーバーナイトステージありと砂漠レースの要素をすべて持つレースだが、1,000人を超える参加者の9割以上が完走する、難易度としては初級の砂漠レース。レース中の寝泊りは、ベルベル人スタッフが設営するゴザのテントで砂嵐に耐えながら過ごす。オーバーナイトステージのゴール後には冷えたコーラのご褒美がある。

4Deserts

https://www.racingtheplanet.com/4deserts

レース距離&期間:250km 7日間
開催場所:ゴビ砂漠(モンゴル)・アタカマ砂漠(チリ)・ナミブ砂漠(ナミビア)・コーカサス山脈(ジョージア)・南極
開催時期&気温:場所によって異なる
荷物:食事や寝袋を含むすべてを携行、調理に必要な「火」を利用可能
エントリー費用:3,800$(南極ステージのみ12,900$)
参加人数:ステージによって異なるが、各ステージ200人程度
歴史:2002年RacingThePlanet設立、2003年Gobi March開催が初回レース

大会の特長:
RacingThePlanetが主催する世界各地の砂漠で開催されるステージレース。モンゴルのゴビ砂漠を走る「Gobi March」、ナミビアのナミブ砂漠を走る「Namib Race」、チリのアタカマ砂漠を走る「Atacama Crossing」、開催ごとに場所を変える「RacingThePlanet」、そしてこれら4つのステージのうち少なくとも2ステージをクリアした者だけに参加権が与えられる南極開催の「The Last Desert」がある。

Namib Raceは以前「Sahara Race」という名称でエジプト、ナミビア、ヨルダンのいずれかの「サハラ(アラビア語で砂漠の意味)」で開催されていたが、エジプトやヨルダンは情勢が悪く最近はナミビアで固定された模様。同じくGobi Marchも以前は中国内モンゴル地区での開催だったのが、モンゴルに拠点を移した模様。

先に紹介したサハラマラソンに比べて小規模で、どちらかといえば本気のランナーが多い大会です。芸能人のワッキーさんが依然完走したのはこちらの大会のようです。

Grand to Grand Ultra (G2G)

https://g2gultra.com/

レース距離&期間:170マイル(273km) 7日間
開催場所:アメリカユタ州のグランドキャニオン
開催時期&気温:0~35度
荷物:食事や寝袋を含むすべてを携行、調理に必要な「火」は利用可能
エントリー費用:3,550$
参加人数:170名前後(国によりエントリー枠が定められている)
歴史:2012年が初回開催?

大会の特長:
砂漠レースというよりは、どちらかというとトレッキングレースともいえるが、かなりの高温度地帯を走ることもあり砂漠レースに含めて紹介。日本人も各大会数名は参加しているようだが、エントリーが1つの国に偏らないように人数制限されている。素晴らしい景色の連続とアメリカというアクセスのよさから、以前サハラの次にどうしても次の砂漠を選ぶならこの大会と考えていたのは秘密。

*近年、Mauna to Maunaというハワイを走る姉妹大会を開始した模様。

Fire and Ice Ultra

https://www.fireandiceultra.com/

レース距離&期間:247km 6日間
開催場所:アイスランド
開催時期&気温:氷点下~15度くらい?
荷物:食事や寝袋を含むすべてを携行、調理に必要なお湯の提供あり
エントリー費用:2,500£
参加人数:25名前後
歴史:2011年から開催

大会の特長:
こちらも砂漠レースというよりは、山岳ステージレース。しかもアイスランドという非常に寒い地帯で開催される非常にコンパクトな大会。

*姉妹(?)レースにネパールのアンナプルナ 210kmを6日間で走るものもあり。

BTU Jungle Marathon

https://beyondtheultimate.co.uk/ultra/jungle-ultra/#!/2020

レース距離&期間:およそ230km 5日間
開催場所:アマゾン(ペルー)
開催時期&気温:10~30度
荷物:食事や寝袋(ハンモック)を含むすべてを携行
エントリー費用:2,750£
参加人数:50名強
歴史:??

大会の特長:
砂漠レースではなく番外編。サハラマラソンを完走した仲間たちに微妙に流行を始めている変態レース。南米のジャングルの森をかきわけ川を渡り、野生動物と渡り合いながらの230km、オーバーナイトステージまであります。蟻の襲撃に遭うので夜に寝るにはハンモックとか、ひたすら雨に塗られて全身びしょ濡れとか、平均睡眠時間2-3時間とか、聞くにつれ意味のわからないレースです。

ジャングルマラソンで探すと、他にもブラジルやヴェトナムで開催されるステージレースもあるようです。

調べていくうちに、まだまだレースが見つかりそうでしたが、もうこの辺でやめておきます。

世界中の全ての変態ランナーに幸あれ!

#36daysrun #ゴビ砂漠 #働く母さん #グレートモンゴリアデザートマラソン2019



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