Spotify APIで取得した解析データから紐解く"access"の楽曲
みんな~~!データ解析は好きかなー?
私は大好きだ~~!
え?しない?…嘘だろ…(ごく一部の人は頷いてくれそう)
一度、浅倉大介の全楽曲を自分でExcelファイルとかにデータベース化して調査していこうかな〜とか目論んでいる変態な私なんですが、そんなことをしなくても(ある程度)いい素晴らしいものを発見してしまった。
その名も、Spotify API。
…多分、ここを読んでるほとんどの人が「何それ?」って言ってるよね。うん、わかる。私だってめちゃくちゃ調べるマンだけど初めて知ったし。
いやもっと世界、こんな面白いものあるならアピールしてこ?
簡単に言うと、Spotifyが独自にAI解析した楽曲の様々な解析情報を誰でも取得できる仕組みがある、というものです。
公式に楽曲解析データを取ってくることが許されてるとか、何それ、神か。
ということで、データ解析超大好きな私がそんな面白いものを見逃すわけもなく、ちょいちょいと調べてデータを取得してきました。
参考にしたのはこちらのサイト。
Spotifyのフリープランでも出来ちゃうんだよ…?ヤバいね。
ちなみにaccess全曲…とはいかず、ダーウィンレコードに切り替わったシングル「Higher Than Dark Sky」から「24sync」までのアルバムに入らなかった楽曲、及びアルバム「Secret Cluster」はSpotify未登録の為、調査出来ず。残念。
これを機に是非!Spotifyに「Secret Cluster」を~~!!
24syncは歌有りが無かったのですが、幸い「Knock Beautiful Smile」シングル版にoffvocalがあった為、これを採用。
歌モノ79曲(うち1曲はoffvocal)、インスト11曲、リミックス7曲、計97曲の調査になります。
Spotifyから取得できるデータは我々がよく知るところの「length(曲の長さ)」「tempo(テンポ)」「keyとmode(CメジャーとかAマイナーとか)」だけでなく、Spotify独自の解析項目があります。
何となくわかりやすい「danceabillity(踊りやすさ)」「energy(エネルギッシュさ)」の他、「valence(ポジティブさ)」など聞きなれない言葉の項目などがあります。
ってことで、AIが解析してきた結果をバンバン、つっこんでいきますぞー!!
■length(曲の長さ)
まずはわかりやすい所、曲の長さから。
普段から目には見えているものだけど、改めてデータベース化して並べてみると色々見えてきて面白いです。
シングル曲のlengthの変遷をグラフ化してみました。
(曲名の字が小さいですが雰囲気で見てください)
1期はやはり商業音楽を意識しているのか、シングル曲お約束の5分前後に納まっています。
再開後は長い曲と短い曲、ハッキリと線引きしているのがよくわかりますね。半端な5分〜6分はほぼ無く、長くするなら徹底的に長くするというスタンスです。
アニメタイアップの「瞳ノ翼」「ダウトラ」は非常にコンパクトな長さ。
…というか、瞳ノ翼がこんなに短いとは思わなかった。全体の曲の短さは疾走感にも繋がってきそうです。
そして昨今の曲短縮化の流れを受けて、近年の「Grateful Circle」「Sync Parade 2020」はかなりコンパクトな長さ。
時世とは言えちょっとさみしいもんです。
長い曲(インスト除く) ベスト5
1.Stay 09:11
2.AGAINST THE RULES 2002 -AA trance- 08:16
3.Hung Me For The Distance 07:31
4.SHAKE THE SUNRISE 07:14
5.VIEW 07:12
5.24sync 3.25 cold press R・T・M (Remix) 07:12
6.Vertical Innocence(Heart Mining Ver.) 06:56
全体的な所では、歌モノの中で「stay」がダントツの長さの9分台。歌モノにあるまじき長さ。(まぁ2分以上イントロなんだけど)
それに続くアゲルーのアレンジ版やハングミーなど、共通しているのは全て曲ジャンルが「トランス」なこと。
この曲ジャンル自体、繰り返しの陶酔感がメインですからね。必然的に長くなるのも頷けます。
「Vertical Innocence」のアルバム版は、最初にリズムパートが入っているので原曲より20秒ほど長いんですが、それよりも長い「SHAKE THE SUNRISE」と「VIEW」…。聞いててあまり長さを感じてなかったのでちょっとビックリ。
短い曲(インスト除く) ベスト5
1.Friend Mining 02:06
2.Gone too Soon 03:15
3.High and Scream 03:18
4.Heart Mining 03:26
5.Inside me, Inside you 03:30
アルバム「Heart Mining」から3曲、「binary engine」から2曲。
Miningシリーズの2曲とバイエンの2曲、面白いことにどちらも曲順が近く、かつアルバムのラストの方に配置されています。
そして項目としては後で詳しく見ていきますが、「Valence」というポジティブさの数値がこの2曲は対極にあります。(Valenceは0~1の値です)
Friend Mining 0.962
Heart Mining 0.171
Gone too Soon 0.784
High and Scream 0.294
これはなかなか興味深い。短い時間の間隔で曲想がポジティブからネガディブへと動く、終盤の山場があるわけです。
こういう曲想の配置を浅倉大介が意図的にやっているとするならば、すげぇなぁとしか言いようがないです。
■Tempo(テンポ)
わかりやすい項目の一つ、曲のテンポ。
これはちょっとあやしい値がチラホラ。倍のテンポや半分のテンポで取っちゃってそうなものが見られるので、最高値と最低値のみ紹介しておきます。
最も速い曲
High and Scream 209
えっ、めっちゃ速い。確かに言われてみれば。
浅倉大介全楽曲中、最速はIcemanの「strike back〜」辺りだと思ってたんですが全然違った…。
リズムの聞かせ方次第で全然テンポの印象って変わるんだなと思いました。
最も遅い曲
"born a cross" (instruments) 69
正直、テンポわかったところで聞いてみても、この曲、拍すら数えられん…。しかも3拍子らしい。ほんとかなぁ?全然わからん。
他のBPM検出ツールだとこの値じゃないんで、違うかも。
ちなみに歌モノ唯一の3拍子が「I Sing Every Shine For You」。(超有名)
■key(キー)
正直キーってのは、ポピュラー音楽では長調・短調が凄く曖昧だし、更には浅倉大介楽曲はめちゃくちゃ転調していくので、判定がまともに働くわけもなく。
こういうところはまだ難しいんだな、というのは感じました。
キー固定のダンス曲なら何とかなる?と思いましたが、転調がない「Vertical Innocence」ですらオンコード駆使してるせいか全然正しく判定されてませんでした。
キーの判定って意外と難しいのかな。
■danceability(踊りやすさ)
0~1までの値で、1に近づくほど踊りやすい曲ということ。
ベスト5
1.Friend Mining 0.811
2.Night Wave (ORIGINAL AXS VERSION) 0.703
3.ENDLESS SUMMER 〜君が滲んだ夏〜 0.693
4.Stoned Merge West Side Mix 0.691
5.Hot Cruising Night 0.681
フレマイが?!1番?!…や…、まぁ…心は踊るかな……。
ナイウェイは唯一のドンピシャ案件。
エンサマはバラードだぞっ?!
Stoned Merge…?!えぇっ…、デリプラ武道館のアノ踊りを踊れと申されるのか…そうか…。
ホックルはまぁ…わからんでもないが。
色々、他の人の解析結果をみると、どうもJ-POPは相対的にこのdanceabilityが上がりにくいみたい。
J-POPって転調多かったり、コード進行が割と感情激しかったりするから、踊りやすいかと聞かれれば低いポイントになるのもわからなくもない。
■instrumentalness(インストかどうか)
0~1の数値で、1に近づくほどインストに近い。
他のアーティストに比べるとインストがある為、なかなか比較のし甲斐があります。
SEQUENCE MEDITATION~超電導思考回路 第一楽章 覚醒 0.584
SEQUENCE MEDITATION~超電導思考回路 第二楽章 混乱 0.831
SEQUENCE MEDITATION~超電導思考回路 第三楽章 解放 0.37
"born a cross" (instruments) 0.634
"cross a bridge" (instruments) 0.908
-a-bstract GHOST 0.86
balearic GHOST 0.934
biologic engine(Instrumental) 0.507
Cassini(Instrumental) 0.895
Voyager(Instrumental) 0.0209
大体0.5を超えるとインスト率が高いらしいです。
AI的に『お前、絶対インストやろ』って曲が、めちゃくちゃ歌声入ってる「balearic GHOST」なのは笑える。もはや人間の声扱いされてない。
そして、圧倒的な非インスト扱いの「Voyager」…。
何なん…?私たちが理解出来ない機械にはわかる歌声入ってるの…?ヤダ、コワイ笑
その他、結構歌モノのはずなのに0.5超えしている曲もあったりします。
Spotifyまとめの2021年秋最新ヒット曲リスト80曲の数値も見てみましたが、ほぼほぼ0に近く、あっても最高で0.02という結果。
インスト値が高い曲は、声が音に馴染んでいるってことですかね。
■energy(エネルギッシュさ)
0~1までの数値で、1に近づくほどテンポが速かったり騒々しい(悪い意味ではないですよ)音楽だということです。
割とJ-POPはここの数値が高めに出やすいそうです。
エネルギッシュ上位曲
1.KISS MY -a- SOUL 0.998
1.BREAK THROUGH THE BIG TOWN 0.998
1.SUMMER NIGHT BREEZER 0.998
1.JEWELRY ANGEL 2002 -Platonic Eye- 0.998
5.瞳ノ翼 0.996
っ惜っし~~!(違
後ちょっとで1.0!!っていうか1.0ってあるのかな?!
それにしても全97曲中66曲が0.9以上というとんでもない結果が笑
音数が多く、音の空間を隙間なく埋めるその音楽性が現れてる数値かもしれませんね。
ちなみに2021年最新ヒット80曲の中でも最高値は0.961…。その数値を超えている曲は36曲。
ユユユ、U.S.A!って歌ってるあの曲は0.988。それを超えるのが15曲。実にエネルギッシュ!!
■Valence(ポジティブさ)
0〜1までの数値で、1に近づくほどポジティブ・楽観的・楽しい、0に近づくほどネガティブ・悲観的・悲しいということになります。
このSpotifyのデータを利用していると思われる、曲の解析結果を表示してくれるtunebatというサイトがあるんですが、そこではこのValenceを『Happiness』として表示しています。
こちらの言葉の方がわかりやすい気がしますね。
このValence値の解析結果がほんと面白い。
要はこのポジティブ・ネガティブっていわゆる『曲想』に繋がっているものだと思うんですよね。曲想…というのは、曲のテーマとか表したいもののことです。
本当はメロディ一音一音に感情の機微があります。
このValence値はそれを一纏めにしてしまった数値ではありますが、大まかに曲想を掴むには便利です。
ここでは極端な数値が出たものをピックアップして紹介していますが、本当はもっと凄い感情の揺れ幅な曲はあるでしょうね。
いつかそういうのも解析していって紹介出来たらいいな、とは思います😊
ポジティブ上位曲
1.Friend Mining 0.962
2.Can-dee Graffiti 0.951
3.US 0.949
4.MOONSHINE DANCE 2002 -Return to Star- 0.912
5.Against The Rules 0.907
飛び抜けて明るい曲が「Friend Mining」と「Can-dee Graffiti」。
AI的にこの2曲が同系統かつめちゃポジ判定を受けるくらい、曲想を確実にコントロールしてる浅倉大介がとにかくヤバい。
この2曲がトップに綺麗に並んだのにはさすがに唸ってしまった。
そしてその2曲に匹敵するくらい明るいのが「US」。わかる。
ムンシャイ2002は、原曲のポジティブさ49位から4位への大幅ジャンプアップ⤴︎ 。メロディは同じなのにアレンジが変わるだけでこんなにも変わるのか。
アゲルーもなかなかのポジティブ度です。ルールに逆らうことに何の躊躇いもないらしい。もはや、笑いながら時計の針へし折って飲んでるよ、これ。
ネガティブ上位曲(インストを除く)
めっちゃ凄いことになってるんで、1曲ずつ紹介します。
1.瞳ノ翼 0.0395
いや…ちょ、マジか…。
ちなみに最新Spotifyまとめヒット80曲の中で1番低かったのは"0.158"、次が"0.22"。
この"0.0395"がいかに低いか、お分かりいただけますでしょうか。
この曲はアニメ『コードギアス』1期の最終話(24話、25話)のOPとして作られた曲です。
コードギアスのストーリーを簡単に説明すると、主人公が殺された母の復讐の為、また愛する妹の為に、手に入れた人を操る力を使って自分たちを支配している国を滅ぼし、革命を起こそうとする話です。(物凄い端折り方で申し訳ない)
普通のヒーローものと違ってコードギアスが一線を画したのは、主人公ルルーシュは決して単純な『正義のヒーロー』ではないということです。
自分が『悪』として扱われようとも、愛するものの為に世界を変えようと、時には偽ることに何の躊躇いもない、その『覚悟』。
勧善懲悪の世界ではないところが、実に素晴らしいストーリーです。
曲調はパッと聞いた限りでは、かっこいい雄大でアップテンポな曲なのですが、そのメロディが内包する曲想はAI解析結果によれば『尋常ではない程の悲壮感』ということになります。
正直、他の曲が1位になってたら、私はAI解析をここまで信用はしなかったかもしれません。
コードギアスのテーマ曲に書いたこの曲に、この結果が出たら…信じざるを得ない。
どれほど浅倉大介がコードギアスという話をきちんと解釈し、それに合わせた曲想を作り上げたか、凄さが伝わりますでしょうか。(2話だけとか超絶にもったいないし、もっとちゃんとOPつけてほしかったな…)
2.Stay My Love 0.0449
いやもう待って?
色々、私の感情がついていかないよ?
「Stay My Love」、すごくきれいな曲です。
でも歌詞を見ると、"君"はすぐ近くにいるようなのに歌い手である"自分"は凄く悲しんでいる。
そして、その悲しみを助長させるが如くの、このValence値の低さ。
尋常じゃないレベルの絶望です。
マジかぁ…。
ちょっとこれはそれぞれ皆さんの解釈次第だと思いますが、一つの可能性としてこの歌詞のストーリー…、ちょっと『死別』も…ありえるのかな…と。
なんにせよ、どうもこの曲は物凄い悲しみの曲である、と言えると思います。
やだもう~~~~、私この曲、涙なくして聞けない~~~~!
3.KISS MY -a- SOUL 0.0505
この曲を『ちょっと性欲を持て余したエッチなお兄さんが、自分を鼓舞する歌』くらいに思ってる人がいたら謝った方がいいかもしれない。
私です、ごめんなさい。
上位2曲に並んでValence値が低いのがこの曲です。
正直、ちょっと考えた。
なぜ、アルバムRippin'のインスト曲に続いて最初にこのような曲想が来たのか。
歌詞の『砕かれた昨日』とは何なのか。
アルバム「Rippin' GHOST」が作られた当時の背景を思うと、これは私の解釈ですが、悲壮感とか絶望というよりは『怒り』なのかなぁ…という気がするんですよね。
というのも、このアルバムの発売が2003年2月。浅倉大介FC会報のインタビューから推測すると、制作は2002年12月~1月に行われていたと思われます。Iceman時代に2週間でアルバム1枚を完成させていますから、ダイスケ的には全然無理じゃない(いや無茶だけど)
そして、このアルバム制作が始まる直前、2002年11月から『CCCD』という、浅倉大介だけでなくaccessのその後の活動方針に大きく影響を及ぼした大問題を裏で抱えていた時期なわけでもあります。
この曲の意味する本当のところなんて知っているのは作った本人たちだけなんですけど。
自分たちの『想い』を音楽で表現するのは十二分に有り得ることで、この曲の表すところが『怒り』ならば。
ヒロ詞にしては珍しく随分と直截的で(今までエロティックなのはあったにしても)過激な言葉が多いのも、割と納得がいく解釈かな、と思いました。
ネガティブ上位3曲、本当に面白い結果じゃないですか?
私の勝手な解釈ですが、この3曲は三様の『ネガティブ』な感情が表れている。
同じネガティブでもその方向性が全て違っているのです。
たった一つのValenceという値から、これだけ想像を働かせられるの、めっちゃくちゃ楽しい。
もう一つ、気になった曲を調査してみました。
Stay 0.434
SUMMER NIGHT BREEZER 0.526
メロディは全く同じ曲です。
これ以外のenergyとかdanceabilityなどはほとんど変わらないのですが、ちゃんとこのvalenceのみ微量に変化しています。しかもちゃんとサマブリが明るく、Stayが暗い。
この微細な調整力も凄いと思います。
以上、完全に私のド趣味な独断と偏見による解析をお送りいたしましたが、いかがだったでしょうか。
本当は各項目の相対関係とか調べられたらめちゃくちゃ面白いと思うんですけど、今のところどの値で相対関係を比較すればいいか思いつきません。
が、面白そうな相対項目思いついたらやりますね。
今後IcemanやT.M.R.の楽曲でもやりたいですね~~~。楽しすぎる!!