父の肺癌⑥

 前回の⑤で登場したTさんとSさん、おまけにDさんというやはり父と同世代の肺癌患者さんが増えた。

前回同様、プライバシーを考え、過小過大に書いてますが、全体像としては、こんな感じです。

 娘さんと来院したTさんは、あらゆる検査の末、肺以外の転移は無いものの、肺全体に癌が広がっており、切除不能で、化学療法の方針となった。
 歩行困難、お子さんが病気のSさん。リンパ節転移、骨転移で、緩和目的の放射線照射をし、緩和ケア療法として病院を卒業となった。
 初診時には、私が診療に就いていなかったDさんに、検査結果を伝える日に初めて会った。奥さんと来院。ステージはそれほど進んでいなかったが、気管に近い位置に癌があり切除不能で化学療法の方針。化学療法導入のための入院に、〇〇の予定があるから月初の入院は無理と、6月2週目の入院が決まった。〇〇の予定がと渋るDさんに、奥さんは渋い顔。先生も〇〇の用事ってそんなに大事⁈と呆れ顔。入院申し込みの説明のため、診察室をDさん夫婦と共に出た。申し込みの説明をした後、私が伝えたこと。
「化学療法は1ヶ月ごとの単位ではなく、薬の種類によって何週か毎の日程となります。血液検査や体調が悪い時はその翌週、翌々週と延長されます。今回の入院は〇〇の用事ということで6月X日となりましたが、今後、外来で化学療法を行うとしても、月初と重なる確率は大きいです。〇〇の用事は整理すべきだと思うんですが、いかがですか?」
私の言葉を聞いて、やっと初めてDさんは治療が生活の最優先事項と認識したらした。ということは、肺癌も重大な病気と認識していなかったのかもしれない。Dさんに次の診療で顔を合わせるのは7月。

さて私の父の治療。たまにの電話では、熱が出て入院したとか、化学療法の合間に違う治療があるとか、まあまあ元気で畑仕事とグランドゴルフをぼちぼちやってるらしい。とりあえず、今年も予想される酷暑を乗り切って欲しいものだ。

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