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コレクティブインパクトを実現する 共創の重要性

noteをお読みいただきありがとうございます。本記事では、インタープレナーの皆様と新産業を共創していく上で、重要になるキーワードをSUNDREDのインターン生が分かりやすく解説していきます!!

今回は「共創」というテーマについて3つ(コレクティブインパクト新産業共創プロセス滋賀リビングラボ)の視点や事例から説明する連載企画の第1回です。
本日は「コレクティブインパクト」の視点で共創を解説します。

こんな人には、ぜひおすすめの内容です。
・なぜ他主体と共にプロジェクトを進める必要があるのか?
・どうすれば共創プロジェクトを成功に導けるのか?


コレクティブインパクトを実現する共創とは

コレクティブインパクトとは、社会課題の解決に向けて、複数の組織や個人が協力し合い、大きな影響力を生み出すことを指します。
一人ひとりの力は小さくても、コミュニティを創り出し、共通のビジョンの下で社会に働きかけることで、大きな変化を起こすことができます。
共創とは、異なる専門性を持つ人々が集まり、互いの知見を出し合いながら、新しい価値を生み出す手法を意味します

SUNDREDが行っているリビングラボはまさに共創を行う上での仕組みであり、コレクティブインパクトを生み出すことができます。共創が重要なのは、一つの組織や分野だけでは解決が難しい課題に対して、個々の主体が持っているプロダクトやサービスをつなげ、面として繋がったソリューションとして課題にアプローチできるからです。それぞれの組織が持つリソースや強みを活かし合い、全体としての力を最大化することによって根本的な課題解決を目指します。複雑で個社で解決困難な課題に対して有用です。

例えば、ある地域で環境保護に関するプロジェクトを立ち上げる場合、環境団体、地元企業、大企業、自治体、教育機関、域外企業が連携して取り組むことで、一つの主体では実現できない、より包括的且つ持続可能な解決策を講じることができます。
環境団体は専門的な調査研究や地域住民への啓発活動を担い、地元企業は地域特性を活かした環境配慮した製品やサービスを開発したり、各主体のつなぎ役になったりします。
大企業は先進的な環境技術や資金的支援を提供し、自治体は環境保全に関する制度整備やプロジェクトで獲得した知見を地域に対する施策として落とし込みます。
教育機関は環境教育プログラムや次世代リーダーの育成に取り組み、域外企業は外部視点からのファシリテーションや他地域での事例を基に成功確度の高いプロジェクトコーディネーションをします。

インタープレナーだからこそ共創ができる


インタープレナーは まさに社会起点で活動する越境共創人材

本noteをお読みいただいているインタープレナーの皆様は、地域フィールドでの共創を進める上で非常に重要な役割を担っています。
インタープレナーとは、社会起点で組織の枠を超えて越境しながら価値創造に取り組む個人のことです。
組織の枠を超えて行動できるということは、他の組織に属している人やコミュニティとつながりやすいということです。インタープレナーは、多様な視点や専門性を持つ人々と積極的に関わり、プロジェクトを推進していくことができるので、他主体と有機的に繋がる際の接点構築を担うことができます。
さらに、インタープレナーは、異なる文化や価値観を持つ組織間の「翻訳者」としての役割も果たします。各組織の言語や文化の違いを理解し、それらを橋渡しすることで、より効果的な共創を実現することができるのです。

コレクティブインパクトを実現する共創プロセス

ここからは地域社会の課題解決に向け、コレクティブインパクトを実現するための共創プロセスについて、地域の環境保護プロジェクトを例にとりながら詳しく見ていきます。このプロセスは、Kania, J., & Kramer, M. (2011)が提唱し、複数の組織や個人が協力し合い、大きな影響力を発揮するための5つの要素から成り立っています。

①共通のアジェンダ (Common Agenda)

多様なステークホルダーが目的をもって協働するために共通アジェンダが必要です。

例として環境団体、地元企業、大企業、自治体、教育機関、域外企業などの多様なステークホルダーが一堂に会し、地域の環境問題について各々の視点から課題を共有します。この過程で、地域特有の環境課題や各主体が持つリソース、強みが明確になり、環境保護という大きな目標の下で具体的な共通のアジェンダが形成されていきます。
例えば、CO2排出量の削減、生物多様性の保全、循環型社会の構築といった実現すべき未来が設定され、各主体の役割や貢献方法が明確化されます。

②評価システムの共有 (Shared Measurement)

次に、設定された共通のアジェンダに基づいて、具体的な評価指標を設定します。

環境保護プロジェクトの場合、CO2排出量の削減率、生物多様性指数の改善、リサイクル率の向上などが考えられます。
これらの指標を用いて、環境団体による啓発活動の効果、地元企業の他主体の巻き込みや環境関連サービスの普及率、大企業の技術導入による環境改善度、自治体の政策効果、教育機関のプログラム参加率、域外企業のプロジェクトマネジメント効率などを総合的に評価します。

③互いに強化し合う活動 (Mutually Reinforcing Activities)

互いに強化をしあう活動を行っていきます。各主体の強みを活かした活動を相互に連携させることで、プロジェクト全体の効果を最大化します。

例えば、環境団体の調査結果を基に、地元企業が新たな環境関連のサービスを開発し、大企業の技術と組み合わせることで、より効果的な環境保護ソリューションが生まれます。
自治体はこれらの取り組みを後押しする制度を整備し、教育機関はプロジェクトの推進過程で得たノウハウ・ナレッジを教育プログラムに取り入れます。域外企業は他地域での成功事例を基に、プロジェクトの改善に貢献します。

④継続的なコミュニケーション (Continuous Communication)

活動してのであればプロジェクトの進捗を共有し、課題を早期に発見・解決するため、定期的な会合やオンラインプラットフォームを活用した継続的なコミュニケーションを行います。
例のプロジェクトにおいては、各主体の活動報告、新たな環境データの共有、次世代リーダーの育成状況など、多岐にわたる情報交換を行います。
また、地域住民向けの報告会や、SNSを活用した情報発信なども行い、プロジェクトの透明性を確保し、地域全体の参加意識を高めます。

⑤活動を支えるバックボーン組織 (Backbone Organization)

これらの共創活動を円滑にすすめるためにはプロジェクト全体を統括し、各主体間の調整を行うバックボーン組織が必要です。
この役割は、中立的な立場にある地域のNPOや団体、専門的なファシリテーション能力を持つ域外企業が担うことが考えられます。
バックボーン組織は、プロジェクトの全体戦略の立案、各主体間の利害調整、資金調達、データ管理、対外的な広報活動などを担当し、プロジェクトの円滑な運営と継続的な発展を支援します。

以上の5つの要素を効果的に組み合わせることで、コレクティブインパクトを実現する地域共創が可能となります。インタープレナーな皆様は、これらの要素を意識しながら、地域社会の課題解決に向けた取り組みなど推進されてみるといかがでしょうか。

まとめ

コレクティブインパクトを実現する共創は、複雑化する社会課題に対する有効なアプローチです。本記事で紹介した5つの要素を効果的に組み合わせることで、新産業の創出やシステムチェンジを起こすことができます。
インタープレナーには、これらの要素を意識しながら組織の枠を超えて活動し、多様なステークホルダーをつなぐ役割が期待されます。皆様の柔軟な発想と行動力は、異なる組織や個人を結びつけ、新たな価値を創造する原動力となるでしょう。
共創を通じたコレクティブインパクトの実現は、単なる課題解決にとどまらず、持続可能な社会システムの構築につながります。一人ひとりの小さな行動が、大きな変化を生み出す—それがコレクティブインパクトの本質であり、私たちが目指すべき未来への道筋であると言えるでしょう。

次回はSUNDREDが掲げる新産業を作り出す工程「新産業共創プロセス」について解説します。リビングラボをどのように組成し、共創に基づいてどんな手順で先進技術や社会的テーマを実装していくのか?ご期待ください!!!