私の「シェーンの誤謬」 その5 風と共に去りぬ

こんにちは、すんどめパターソンです。
Facebookの「シェーンの誤謬」ページに掲載中の記事をこちらに転記します。
なにぶんFacebookタイムライン中の記事ですので、用語・体裁等、その仕様になっておりますことをご了承下さい。

【私の「シェーンの誤謬」 その5 風と共に去りぬ】
こんにちは、すんどめパターソンです。
今日も私自身が体験した不思議なできごとについてご紹介します。
このできごと、「シェーンの誤謬」かも知れませんしそうでないかも知れません。
シェーンの誤謬が何なのかをまだご存じない方は、本タイムライン一番下の投稿をまずご一読下さい。
拙著『シェーンの誤謬』(https://www.amazon.co.jp/dp/B07FYT4Q65/)の中でも詳しく記述しましたが、それは映画『風と共に去りぬ』(1939年、米。ビビアン・リー、クラーク・ゲイブル主演)にまつわる摩訶不思議な体験でした。
なお、私は『風と共に去りぬ』の原作を読んでいません。
従って、以下の記述はすべて映画版に関することです。
私はこの映画を3回観ました。
1回目は6歳か7歳のころです。
そのときの記憶では、ヒロインであるスカーレット・オハラ(ビビアン・リー)の住む家にある日突然やってきた南北戦争の兵士(たぶん脱走兵)を、スカーレットと共に暮らしていた女性・メラニーが、銃で撃ち殺したはずなんですね。
そういう記憶が私の中には鮮明に存在します。
スカーレットの年老いた父親以外は女性と子どもだけという家に、1人の血に飢えた兵士がやってくる。
危ない場面ですね。
お金や食べ物が奪われるかも知れません。
女性たちがレイプされるかも知れません。
その過程で、下手に逆らうと殺されてしまうかも知れません。
家族を守るため、メラニーは勇敢かつ大胆に、この兵士を銃殺した。
そういう記憶が、私の脳内には確かにあるわけです。
ここでポイントなのは、同作品全体を通じ、ふだんはスカーレットのほうが強気で行動的、メラニーの方が大人しくて思慮深い、といったイメージで2人が描かれている点です。
まさにこの正反対の女性像こそが同作品の本質といってもいいくらいです。
彼女ら2人の人物像からすれば、ふつう、スカーレットが殺すという展開こそ自然な展開ではないでしょうか。
もしどちらかが殺すとしたら、そこはやはりスカーレットが、と考えるのがごく当たり前の予想ではないでしょうか。
それなのに、私の記憶ではメラニーが殺した。
だからこそ、私は「意外な展開」、「衝撃的な展開」としてかえって鮮明に記憶し続けることになりました。
時は流れ、18歳の春。
私は『風と共に去りぬ』を観る2度目のチャンスを得ました。
すると、どうでしょう。
なんと私の記憶は、とんでもない間違いだったことが分かりました。
例のシーンでは、やはりスカーレットが殺していたのでした。
私は驚き、なんでこんな記憶違いをしてしまったのか、とてもとても興味深く思ったのです。
逆なら分かります。
本当はメラニーが殺したのを、ふだんのイメージに引っ張られ、強気で行動的なスカーレットが殺したものと記憶違いしてしまった、というならまだしも自然です。
しかし、大方の予想通りスカーレットが殺した兵士を、虫も殺さないようなあのメラニーが殺したなどと記憶してしまうなんて。
これは、一体どういうことでしょう。
何かとてつもなく興味深いことが、私の脳内で起こったとしか思えません。
シェーンの誤謬の現段階での定義は、
シェーンの誤謬:人々の記憶の中で物語が変質していく現象。えてして、物語がより合理化され、つじつまが合っていく傾向にある。
というものでしたね。
では、『風と共に去りぬ』にまつわる私のこの奇妙な記憶違いがもしシェーンの誤謬なのだとすると、それは合理化のための過程であるべきです。
スカーレットが殺した場合よりも、メラニーが殺した場合のほうが、物語が合理化され、つじつまが合わなければなりません。
しかし、どうでしょう。
これが合理化といえるでしょうか。
つじつまが合っているでしょうか。
むしろ、より不思議な物語に変貌していませんか。
本来、強気で行動的なはずのスカーレットによる殺害のほうが「合理的」であり、「つじつまが合う」というものではないでしょうか。
では、私のこの記憶違いは、シェーンの誤謬とさえ言えない、ことによるとシェーンの誤謬よりもさらに不可思議な現象なのでしょうか。
分かりません。
ただひとつ言えることは、私個人に限って言えばメラニーが殺した場合のほうが「感動」した、ということだけです。
ところが。
数年前、3度目の観賞をする機会を得て、私の記憶違いの原因に関し重大な示唆を与えうる、実に興味深い新たな発見をしました。
それについてご興味のある方は、ぜひ私の小説『シェーンの誤謬』をお読み下さい。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07FYT4Q65/

Amazonの電子書籍として出ています。
1ダウンロード、450円です。
評価、レビューなどもぜひぜひお寄せ下さい!
もちろん読後のご感想・ご意見なども、このタイムラインにどしどし書き込んで下さい。
お待ちしております!

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