学校に行かない子どもたち
こんにちは。
Sunday Morning Factory(株)の石出です。
現在、スタディーツアーのアテンドや自社工場訪問ツアーの開催もあり、
1ヵ月バングラデシュの自社工場に滞在しています。
こっちに来てもう半月が経過しますが、
6ヵ月ぶりで少し緊張していたのは最初だけ。
tea timeをみんなと過ごし、にぎやかにランチを食べ、バングラ語を覚えては使っての日常がまた戻ってきました。
ここ半月は、
「学校にいけない子どもたち」ではなく、
「学校に行かない子どもたち」に出会う頻度が多く、
Kids schoolの開校だけでは足りないと思わされる出来事が多くありました。
この問題の課題の本質は一体どこにあるのか。
一旦頭を整理するために、noteを書いてみようと思います。
私が12日間で出会った4つのケース
ケース①悪い友達ができたから始まるドロップアウト
きっかけは、Kids schoolに通う生徒が教室に来なくなったことでした。
出席率が減ったことを心配したNazmulさんは、オペレーターとして働くお母さんに子どもの様子を聞きます。
その子はまだ10歳の4年生の女の子。
お母さんも子どもが学校に行かなくなったことを心配し、ちょうどNazmulさんに相談しようと思っていたそうです。
悪い友達ができ、2週間学校に行っていない。
その友達と一緒に彼女は働きにいこうとしている。とお母さん。
お母さんは幸い学校に行ってほしいという想いを持っていたので、
Nazmul sanがその子としっかり話し、
また彼女は学校に戻りました。
今回は早く問題に気づくことができたのですぐに学校に戻ることができましたが、
定期的にコミュニケーションを取り、彼女をモチベートする必要があると思います。
実はこのケースは少なくなく、子どもが自ら、“仕事”に興味を持って、学校から離れてしまうケースがあります。
ケース②お父さんが働けなくなったから始まるドロップアウト
こちらもKids schoolに通っていた姉弟の2人組。
お姉さんの方が、学校・Kids schoolとともに、お父さんが病気になってしまったため、家で面倒をみることを理由に学校に行かなくなったと連絡が。
彼女はまだ14歳。SSC(小学校卒業試験)を2年後に控えた、中学2年生です。
お母さんに話を聞くと、
旦那さんが腰の骨が悪く、もう働けなくなった。
家で、旦那さんのお母さんが面倒を見ている。
自分だけの収入では生活ができないので、2日前に子どもは別の工場で働き始めた。
子どもには学校に行かずに、働いてほしい。
と。
Nazmulさんはもう4回もお母さんと話をしていますが、お母さんの意志は固い様子。
リーダーたちにアドバイスをもらい、子どもの意志をしっかり聞く時間を取ることにしました。
意志があるのであれば、できるサポートを提案できるようにしたいと思います。
ケース➂ちょっとのお手伝いから始まるドロップアウト
私の朝ごはんは工場近くのローカル朝ごはん屋さんです。
いつものお店が空いていないので、この日は別の朝ごはん屋さんに来ました。
料理を運んでくれるのは、12歳の男の子。
このお店はお兄ちゃんのお店で、1年間学校に行かずにこのお店を手伝っているそうです。
学校行かないの?と聞くと、
戻るよ。という彼の顔は、少しごまかした様子。
まだしっかり話を聞けていませんが、勉強が好き!というようなタイプには思えません。
工場のメンバーではないのですが、この滞在期間中、できるだけ彼の元に通い、しっかり話を聞いていきたいと思います。
ケース④村で5人しか学校に行かない子どもたち
今回、スタディーツアーの一環で、bede族という民族に出会いました。
バングラデシュの中でも、差別を受けている民族で、私が訪れた村も、600~700人の村で暮らしていました。
もともとは船の上で生活し、家を持たず、移動しながら生活する民族。
ただ、時代の流れともに変化し、今は政府から支援を受けて建てられたシェルターで暮らしていました。
「学校が遠くて学校には行けない」
「村では5人だけ通っている」
「大人の仕事は、リキシャや物乞い、荷物の運び屋」
との答えが。
村長さんは彼らだけの学校が、この地域に欲しいと話しました。
今回初めて、“貧困”という問題以外にも表れた差別を含む問題。
この地域に仕事があったら本当に彼らは仕事をするのか、
この地域に学校があったら子どもたちは学校に通うのか、
彼らの意志をしっかりと聞いていきたいと思います。
4つのケースを受けて
たった2週間のうちに、すごく身近に起きていた、
「子どもが学校に行かず、働く」という世界。
そして、「子どもが学校に行けず、働かなければいけない」という状況ではなく、
「子どもが学校に行かず、働いている」という、どちらかというと、
子どもたちが環境要因もあり、主体的に選択しているような状況です。
本当の原因は何なのか?答えは子どもに聞く。
今回、現地のリーダーたちからは、
親ではなく、子どもに意志を聞いてみた方がいいとアドバイスをもらいました。
:勉強に興味がないのか
:先が見えないのか(勉強したらどうなるか考えられない、言われても理解できない)
:経済的貧困だからなのか
:親の理解がないからなのか
この4つが複合的に混ざり合い、
結果、「子どもたちが学校に行かず、働く」という現象が起きている気がします。
子どもたちに“メンター”という存在がいればモチベーションを保てるのか、
同じ立場のフロアメンバーの子どもたちからロールモデルができれば、私の子どもにもできる!と思えるのか、
今よりも給料があがれば子どもたちは学校にいくことができるのか、
学校教育の質があがれば子どもたちが学校に通うのか。
勉強に興味がない子どもたちには、職業訓練的なスクールの方がいいのか。
子どもの意志を尊重するのか、強制してある程度の年齢までは行かせるべきなのか。
私たちのやっていることはソーシャルビジネス。
つまり、社会課題をビジネスで解決することです。
でも、その思考の枠だけにとらわれていたら、きっと目指したい社会はつくれない。
今日、工場が久しぶりの3連休で朝このブログを書きながら、
そのことに納得感を持って、言葉にしています。
私は、私たちは、何ができるのか。
残りの期間で、できる限りのsolutionを。
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