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無印の歯ブラシ立てを買う人と結婚したい

友達と、結婚相手の条件を話すことがある。
結婚したくない人の条件はどんどん出てくる。

店員さんへの態度が横柄な人。
人の物を大切に扱わない人。
相手の話を聞いて否定から入る人。
食べ物を残すことに躊躇のない人。

、、、止まらない。やめよう。
じゃあ結婚したい人って?

性格面、顔の好み、清潔感など色々あるが、なんとなく最初に出てきたのは、うまく言えないが、

無印の歯ブラシ立てを買うような人

だった。

これ(↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓)だ。 

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なんでこれが出てきたんだろう。
きっと、結婚条件に臨むことを簡単な言葉で言いなおせば、「趣味が似た人と一緒にいたい」なんだろう。

そして、これは多分、自分の一人暮らし生活を始めるときに真っ先に選んだ、ささやかな「お気に入り」だからだろう。


お気に入りの魔法

一人暮らしを始めるとき、様々な物を買うこと、買わないことの選択を迫られた。

洗濯機は寮に共用の物があるから、買わなかった。

冷蔵庫は共用だと不便すぎるからさすがに、買った。

TVはなくても何とかなりそうだと思って、買わなかった。

そして、歯ブラシスタンドは、なくても困らないが、買った。

本来、歯ブラシ立てなんて、ある程度歯ブラシが独立して立つ構造で、きちんと乾く清潔な作りなら、何でもいい。使っていないコップでも、百均の歯ブラシ立てでも。うがい用のコップに立てかけていても。

それでも何の支障もない。

だけど、わざわざこれを買う。

それは、生活に馴染む邪魔にならない乳白色とか、
立てる上で必要最低限なサイズと重さとか、
丸みを帯びてコロンとしたその形が、
好きだからだ。

それら全てが、僕のお気に入りだからだ。

「お気に入りを選ぶこと・使うこと」の効果はすごい。計り知れない。

生活にお気に入りが増えることで、毎日がちょこっと楽しくなる。

壊れたり、無くなったりするまで続く、半永続的な魔法だ。


「命」を続けていくのに食事や睡眠などは必要だ。必ず自分に取り込む必要がある。

それに比べたら、お気に入りのものを揃えることは、必須ではないのだろう。なくても死にはしない。

だが、「生活」には、お気に入りが必要だ。

好きなマグカップでお気に入りの紅茶を飲み、自分がこだわった机といすで作業をする。

食後の歯磨きに使う歯ブラシは、無印の歯ブラシ立てに置く。

「豊かさ」は一概では説明できないが、自分にとっての豊かさは、「選んだお気に入りと共に」「生活すること」だ。

そしてそれは、自分が自分らしく、楽しく生きていくのに欠かせないことだ。

きっと今後、誰かと結婚したら、共に住む家の中には、自分で買ったわけではない物も増えるのだろう。

物に執着のない人や関心が薄い人はきっと何もないだろうが、自分は選ぶもの使うものが似ている人と長く居たい。

お気に入りの感性が似ている人と、好きな世界を共有したい。

そして、そんな遠い未来の生活の洗面所には、人数分の無印の歯ブラシ立てが並んでいてほしい。


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