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第5話 「セーヌ川」
どこかの港に漂着したんだ。
波止場って言うか。とにかく大きな船が何隻も連なってた。
貨物船の近くには、何個も何個もコンテナが積まれてあって、みんな忙しく働いてた。
ヘトヘトの身体で、その逞しい風景をぼーっと見てたら、声をかけられたんだ。
おい!お前、早く乗れ!
って。
振り向くと、スキンヘッドの強面の男の人達がこっちに迫って来たんだ。
一瞬、逃げようと思ったけど身体が全然動かなくて、すぐに捕まって両腕をガッチリ掴まれて貨物船に連れて行かれたの。
細くて長い階段が港から貨物船に伸びてて、スキンヘッドの男達に身体を抱えられながら、その階段を上がって、そのまま船室に放り込まれたんだ。
おい、お前!
ここで、しばらく休んでな。
スキンヘッドの男達は、そう言って部屋を忙しそうに出て行った。
僕は、ベッドに座り込んだ。
よく見ると、綺麗な部屋で3人くらいで過ごしても平気な広さだった。
丸い小さな窓からは穏やかな水平線が見えて、小さな頃に家族と乗ったフェリーを思い出したりしてると、急に睡魔に襲われてね。
真っ白なシーツに、沈み込むように寝てしまったんだ。
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