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「さきどり佐知子とプリンセスと女神」

キャンディをたくさん落としてくれた。


サマーが腰にぶら下げていたmont-bellの袋から流れ落ちた、たくさんのキャンディは、まるで私の方向に意志を持って転がって来るようだったの。


すぐにキャンディ弾を詰め込んで、私はワンダーピープル達に撃ちまくったの。


才能に気づいてしまった私には、とてもゆっくりに色んな物が見えていた。だから寸分違わずワンダーピープル達の足の小指にキャンディ弾を当てる事が出来た。


でも、そのうち、体力が底をついたの。


そう、ただ人並み外れた動体視力があっただけで、何も訓練していなかったから。

結局は、日々の行いなのよね。

宝の持ち腐れね。

サマーも、そもそも、私の前に現れた時から怪我をして少し血を流してたから、すぐに体力を消耗してた。

チャイニーも拳法のような動きで、相手を気絶させてたけど、それも一時的なもので、しばらくすると、またワンダーピープル達は強い意志で立ち上がって向かって来たの。


いよいよピンチを認めざる得なかった。


私達は、もう限界だった。


そこに、血だらけのマルコが現れた。

プロレスラーのような大きな身体と隆起した筋肉で、全ての物や人を投げ飛ばしていったの。


そして、私達に先に行けと言った。


本当に申し訳なかった。


それでも、私は、先へ向かった。

チャイニーとサマーと一緒に。


宮殿の中の階段をずっとずっと登り続けた。

必死で、登りきった先には、大きくて素晴らしく綺麗なプールがあった。

そして、私達はとうとう見たの。


そう、プリンセス。


ワンダーピープルのプリンセスと呼ばれる女性が、大きなプールにひとりで居たの。

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