![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57577590/rectangle_large_type_2_12071a312976d80401bf1e3711a01ef3.jpg?width=1200)
「さきどり佐知子とキャンディ」
ワインに睡眠薬を入れて、ごめんなさい…
可愛い字の置き手紙は、私の宝物になったの。
そして、私は、自由になった。
女優を続けるもよし、普通の人生に戻るのもよし。とにかく、自分で決めてよかった。
成り行き任せに、ただ何となく生きて来た私にとって、とても自由は恐かった。
とにかく、セリーヌ川のほとりでお茶をする事にしたの。ひとまず、アールグレイを飲んでいる間だけ、真剣にこれからの事を考えようって決意してね。
セリーヌ川のほとりでは、ひと時の幸せをこれでもかって言うくらい持て余した若いカップル達が、とても楽しそうに、夕暮れを見つめていたわ。
私は、ゆっくりとアールグレイを飲み干して、静かに沈んで行く太陽をずっと見てね、そのうち思ったの。
このまま、この街で暮らそうって。
女優も、続けようって。
チャイニーは、必ずスクリーンで私を見ていて
くれるって、そう思ったから。
だから、何度でも、スクリーンに出ようって。
また陽が昇るように。
でね、これからは、もっと強くひとりで生きなきゃって、ひとりで何でも出来るようにしなきゃって思った。
夜ごはんに、ロングブレッドと、ハムとチーズとワイン。
それだけ買って、大通りを歩いてたの。
その時よ、後ろから、声をかけられたのは。
ここから先は
698字
¥ 100
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる