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「さきどり佐知子の水平線」

目が覚めたら、隣のベッドにはチャイニーがまだ寝てた。

幸せだった。


近くのお店で朝食を食べる事にして、私は身支度をしたの。


シャワーから出ると、チャイニーは起きて窓の外を見つめていた。朝陽がとても眩しかったみたいで、こっちを見て笑ってた。


私の分まで、すぐに珈琲を淹れてくれて、チャイニーもシャワールームへ向かった。


私は、ゆっくりと珈琲を飲んだ。


チャイニーは、ほんの数分でシャワーを終わらせて手早く髪を整えた。とても洗練された動きだった。


身支度のひとつひとつが速くて、無駄がなかった事に、訓練されたんだなって思って少し苦しくなった。


チャイニーは、一気に珈琲を飲んで言ったの。


行きましょうか?

近くのお店で朝食をとりましょう。


私は、笑顔が我慢出来なかった。

とても柔らかいプレーンオムレツだった。

チャイニーは、パンをちぎってゆっくりと食べていた。

カフェラテも凄く美味しかった。


テラス席は少し賑わい出して、色んな国の言葉が飛び交っていた。

これからの人生を、どう生きたいか。


私は、ゆっくりとカフェラテを飲むながら、考えてたの。


チャイニーは、そんな私をずっと見守ってくれていた。


主演女優賞をね、欲しいなんて思わない。


でも、自分の人生は自分が主役じゃなくちゃ。


チャイニーは、パンをおかわりしたの。

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