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第1話 「長い旅」
気づいたら、病院のベッドだった。
すぐに分かったのは、夏が終わっていると言う事だったんだ。
あんなにはしゃいでた、夏が。
須磨海岸のビーチバレーの大会に出たり、みんなと愛媛県の大島で10日くらい過ごしたり、もう1度、ラグビーをやり始めたり。
あの夏は、音楽を捨てていたから。
だから、音楽に変わるものを必死で探していたんだと思う。
病院のベッドから、看護師さんに介助されながら車椅子に乗ってトイレに行って、その時、自分の顔を大きな鏡で見たら、どこの誰だか分からなかった。
なんて言うか。
70歳くらいの痩せこけた顔と、雑に伸び切った髪には、白髪も見えた。
どこかの仙人みたいだった。
でも、それは、ずっと長い旅をしていたから。
長い旅が終わった瞬間だった。
そして、僕は、こんな感じの人になって、またこの世界に戻って来たんだ。
音楽をする為に。
戦争に反対する為に。
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