「さきどり佐知子の新しい生活」
私に用意された部屋は、これからの映画女優にしては、とても洗練されたアパートメントだった。
私にとっては、とにかく凄い部屋よ。
それまで、広い部屋に住んだ事はなかったし。
私は、いつもワンルームだった。
それぞれに、綺麗にリフォームされた部屋が3つほど。
それに、近くには川が流れていて、マーケットも人々で賑わっていたし。
あの日、阿部チェリーは、去り際、私にアパートメントの鍵を渡したの。
その時に、私の身の廻りの事は全部、この部下のチャイニーに任してあるからって。
それ以来、ほとんどの時間、チャイニーと過ごしたの。
チャイニーは本当に優しい人で、家具やベッドをすぐに用意してくれて、それにたくさんの綺麗な衣装も用意してくれたの。
背も高いし、笑顔もハンサムで素敵だった。
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